《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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テルマエ・ロマエ
2012.05.12
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ヤマザキマリ原作の「テルマエ・ロマエ」の映画を見た。
既刊のマンガ4巻まではすべて読んだうえで見たのだが、おもしろい。
テルマエ(浴場)建築技師のルシウスを演じるのは阿部寛で、日本人で古代ローマ人ができるのはこの人しかいないだろう、というぴったりの配役だった。
「結婚できない男」というドラマでもそうで、融通の利かない一徹さによる面白さを演じるのが大変うまい。
ただ、面白さは単にコミカルな点にあるのではない。
古代ローマ人から見た「顔の平たい族(日本人)」が当たり前のように享受している文明が、実は当たり前のものではないということ。
日本は斜陽にあるように見え、自信をなくしてはいるが、実は結構すごいのだということを古代ローマ人に教えられている。
そこにカタルシスとしての作用がある。
便利さや豊かな物に囲まれていると、それが当たり前になり、虚しさを感じるようになる。
多忙感、焦りばかりが募り、欝状態を引き起こしもする。
しかし、お説教ではなく、古代ローマ人という違う視点から見ることで、ゆとりをもって現状を眺められるようになる。
そもそも歴史というもの自体が、そういう学問なのだろう。
風呂、もしくは銭湯ブームが、これで起こりつつある。
銭湯は数が減ってきているだけに、レトロブームはたびたび小さいながら起こるが、銭湯も今回はマンガや映画に乗じて盛り上げようとしている。
写真は銭湯に貼ってある注意書き。
これまでの注意書きの中で、もっとも目を引くものとなっているだろう。
子どもの頃から銭湯生活だが、こういうものは見たことがない。
廃業になった銭湯を活用してカフェにしているところもある。
うちの周りはまだ銭湯が多いほうだが、残念ながら、減っていくことは避けられない。
客数が減れば、銭湯代が上がる、上がれば客が減るという悪循環に陥っている。
銭湯が存続するために、何がしかのアイデアが求められている。
