《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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「マザーウォーター」雑感
2012.05.24
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DVDを見た感想。
京都で撮影された映画だが、京都人は1人も出ていない。
ゆえに京都弁もなく、一見すると京都とは思えないのではないか。
メインの豆腐屋はこの近所だが、縁台で豆腐を食べている姿は見たことがない。
登場人物は昔から京都にいた人ではなく、流れ流れて今日はここだが、明日はわからないという姿勢の人たち。
京都に根っこを生やして住んでいるという姿はまったくない。
自然体というのがテーマかと思われる。愛想笑いをする人が1人もいない。
「今日も機嫌よくやんなさいよ。」と語るもたいまさこも笑っておらず、上機嫌には見えない。
機嫌よくとは平常心でくらいの意味かと思われる。
「かもめ食堂」や「めがね」とスタッフは同じだが、監督が違うとやはりずいぶん色合いが変わるものだ。
おもしろいとは言えないが、意図していることはよくわかるし、共感もできる。
京都人ではなく、明日はどこへ行くかわからない、かつ個人で店をやっているというスタンスは私自身に共通しているので。
今日は京大、明日は枚方へ出張買取。
どこへ行くかわからない現在の仕事もまた流動的だ。
京都で「先の戦争」と言えば、応仁の乱を指すと言われている。
そういう土着的な風土で流動的に生きられるのは不思議な気もし、また当然のようでもある。
映画の中で、なぜウィスキーだけのバーになったかという問いに、「ここだから」と言っている。
この仕事ができているのも、同じく「ここ(京都)だから」なのかもしれない。
写真は廃業した銭湯を利用した「嵯峨野湯カフェ」。
うちの近くにも銭湯を改装したカフェ「さらさ西陣」があり、同じ並びに今日も入ってきた船岡温泉がある。
