《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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[方丈記と鴨長明シンポジウム]など
2012.10.22
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昨日は午前中に本とレコードの買取。
音楽教師の方の御宅へお伺いし、クラシック音楽関係の書籍、レコードを査定。
午後からは京都産業大学むすびわざ館にて、「方丈記と鴨長明シンポジウム」を聴講。
毎日新聞後援で方丈記が書かれて800年の記念イベントである。
来場者は予想通り、先日通っていた古文書入門と同じく、平均年齢70歳代と思われる。
シンポジウムも方丈記というだけなら、シンポジストも口調のはっきりしないおじいさん先生たちになるのが相場なので行かなかったが、その一人が女優の中江有里氏ということで参加した次第。
中江さんはずいぶん昔、映画「学校」しか見たことがなく、ただそこでこの子は本をよく読んでいるなと思った。しばらく忘れていたら、BS放送の「週刊ブックレビュー」の司会をしており、やっぱりというのとぴったりの仕事が来てよかったねと。
古文に彼女を選んだ京産大の企画センスも見事。
前半の基調講演は三木紀人氏、後半のパネルディスカッションのメンバーは小林一彦氏、浅見和彦氏という研究者と臨床心理士の桝蔵美智子氏、そして中江氏の面々。
三木氏は講演の題を「『ユク河』の行方」とし、長明が現代の文学者にどういう影響を及ぼしたかを論じた。代表として中原中也と芥川龍之介を取り上げる。
終始和やかに進行していった。
聴講者たちの雰囲気に合わせるように。聴講者のマナーもよく、久々に参加して気もちがよいと感じた。
刺激的な話はなかったが、各人が長明やそれに関わる人たちを愛情をもって語っていたのが好印象であった。薬師丸ひろ子の「語りつぐ愛に」を思い出す。「愛を語りつぐためにみんな生まれる」。対象がなければ愛は表現できない。表現するには形(依代と言ってもいいだろう。)が必要で、長明という形に自らの愛を託している、そんな人たちであった。
今日は会場でもらったチケット、下鴨神社で行われている「定家と長明」展を見に行った。
これはスタジオジブリが堀田善衛の世界をアニメーション化しようとした試みで、ジブリが描く日本の古典である。定家と長明は同時代人なので、二人をフィクションを交えて描いている。
イメージボード、キャラクター設定がすべてできているにも関わらず、映画化は難しいらしく署名活動をしていた。
私も映画で見てみたいので署名をした。
写真はそのポスター。
その後、同じく下鴨神社で「鴨長明『方丈記』と賀茂御祖神社式年遷宮資料展」があり、長明の唯一と言われる自筆の手紙などが展示されていた。
神社がある糺の森の川は今日も滔々と流れていた。
11月1日が古典の日に制定された。4日は古本カフェで朗読会なので、方丈記を読んでみてもいいかもしれない。
それにしても、800年だからとは言え、東日本大震災、断捨離、健康ブーム、これらがすべて重ならなければ多少とはいえ注目されることはなかっただろう。
古事記も編纂1300年ということらしく、島根では何かやっているようだが、まったくと言っていいほど動きが伝わってこない。
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