《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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今年一番の演奏
2012.11.10
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バンベルク交響楽団とヘルベルト・ブロムシュテットが来日。
京都コンサートホールで行われたコンサートの余韻を味わっている。
演目はベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」と第7番、アンコールもベートーヴェンの「エグモント」序曲とコッテコテのラインナップ。
ブロムシュテットはぜひ、一度聴いておきたい指揮者の1人であった。
85歳とは思えない立ち姿。柔和で正確な指揮は、正統でありながらゆとりのあるベートーヴェンでもあった。
なんにせよ、今年1番の演奏。
「英雄」の第2楽章に祈りが極限まで伸びてゆくメロディーがあるが、両目から涙がいつのまにか落ちていた。
7番はゆったりしたテンポで進んでいき、最後はワーグナーが「舞踏の聖化」と呼んだようにリズミカルに、しかも抑制が利いている。それが実に自然。
バンベルクの楽団員が和やかに演奏していたのが印象的だった。
ホールの後ろ斜めに席を取ったため、指揮者と団員がより身近に感じられる。
演奏中は1つの魂だけがあった。
人間嫌いのベートーヴェンの人類愛がひしひしと感じられた。
これでホールが満員でないのが歯がゆいところ。
ただ、拍手はこれまで聞いたことのないほど温かく、最後に残った人たちはスタンディングオベーションとなった。
