《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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ブックカバーに親しむ
2012.12.25
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前回の日記で手帳のことを書き、その中でも述べたように、やはりほぼ日手帳のweeksのほうが使い勝手がよかったので変更した。
変更したはいいが、手帳のサイズが違うため、この革のカバーをどうしたものかと考える。
ちょうど文庫サイズだったので文庫のブックカバーに使ってみることにした。
これが見事にいい感じで、本に、そして手になじむ。
カバーを差し替えた途端に、厳かな雰囲気になると同時に親密度が一気に増す。
本を撫ぜたくなる。
驚いた。
ブックカバーの役割といえば、
1・本をイタミから守る
2・人に何を読んでいるか見られないようにする
の2点くらいだと思っていたので、これまで重視することがなかった。
しかし、もう一点加えねばならず、これこそブックカバーの醍醐味だと確信した。
本が近しくなる。頭で読んでいたものも感性のほうでとらえるようになる。
ただし、素材がビニールや布地ではそうはいかない。
そこで文庫だけでなく、新書以上のサイズのものも使いたいと街へ出た。
丸善や専門店に足を運ぶも、なぜか革はあっても文庫サイズのみ。
帆布もあったが、やはり革ほど手にはなじまない。
大丸には2つのメーカーのカバーがあり、かための革となめしたやわらかい革であった。
やわらかい革のほうが本にも手にも添うことを確認。
菊判のサイズがなかったが、手帳メーカーAshfordの新書版(ブラウン)と四六版(ブラック)を手に入れた。付箋入れや紐のしおりがついていたら言うことはないが、手触りもデザインも申し分ない。
早速、四六版にメイ・サートン『独り居の日記』(みすず書房)のハードカバーをはめて読んでみた。内容はさることながら、ブックカバーでより内容が伝わってくる感じがある。
思い込みではないかと言われるかもしれないが、やわらかい手触りは脳をリラックスさせてくれるのでよりしなやかに読んでいる実感がある。
絵は額で雰囲気が変わる。額に触ることはそうないだろうが、額を触りながら絵を愛でている感じと言ったら言い過ぎだろうか。しかし、それくらいよい。
やわらかい革のブックカバー、この贅沢はしてみる価値が十分にある。
文具売場でカバーを選んでいると、女子大生2人が話をしているのが聞こえてきた。
大学で教員が書いた本を買わせるのは一般的であるが、買わせておいて授業でほとんど使わない、そういう教員のことを「印税先生」と呼んでいるらしい。「あの印税キライ」といった使い方をする。
吹き出しそうになった。センスがすばらしい。
