《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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ヤギの3つの教え
2014.04.15
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ヤギスケに出会う人みな、かわいいと言います。
たしかにそれはそうなのですが、本当はもっと発しているものがあり、それを感知できる感性がまだ多くの人には備わっていないし、感じようともしていないように見えます。
小動物=かわいい=保護すべきものという母性のみ。しかし、ヤギはそれだけではなく、人間の師ともなり得べき存在であることを知っていただきたい。
では、ヤギの教えとは何か。
大きなものを3つ挙げてみます。
1・アルカイックスマイル
佐川美術館で開催されている「ウルトラマン創世記展」へ行ってきました。
ウルトラQからウルトラマン80までの使用されていたマスクや模型、原画などが展示されている。
私はウルトラマンが好きで、というより自分がウルトラマンであると子どものころに確信していました。それは、いわゆるヒーローや怪獣が好きという子どもらしい理由ではありませんでしたが、その話はさておき、ウルトラマンはまさにアルカイックスマイルです。
20年前にドイツから京都に来たのは、広隆寺の弥勒菩薩像があったからというのが大きな理由でした。この弥勒菩薩もまた、アルカイックスマイル。当然、ウルトラマンと弥勒菩薩は似ています。
古代ギリシアの像に見られるこの表情は、ヤギにも見出せます。
人間の価値観を無化するようなスマイル。弥勒菩薩像が飛鳥時代より大切にされてきたのも、この表情の前では、人間界における苦悩が実は兜率天においてはそうではなく、人間界だけのものであると無意識のうちにでも気づかされる。苦悩の解消とは自らが苦悩を設定したのだと気づくよりほかない。
弥勒菩薩は兜率天より56億7千万年後に地上に現れて人類を救済すると言われています。また、ウルトラマンもはるか彼方のM78星雲から人類を救いにやってくる。どちらも地球人の価値観とは違う場所におり、慈悲はあっても、その価値観に自らを置くことはしない。
固定された価値観を無化するものがアルカイックスマイルであるなら、ヤギのスマイルにもそれを見出すことができます。
ヤギはつねに顔施を施しているとも言えるわけです。
2・よく味わうこと
ヤギはいったん、草を食んで飲み込んでも、また口内に戻して何度も咀嚼しなおします。
いわゆる反芻と呼ばれるもので、牛や羊にも見られる習性です。
現代社会において、物事をじっくり味わうことのできる人がどれだけいるでしょう。
喧しい声でおしゃべりをし、手が開けばつねにスマホをいじり、あれこれ刺激を求めては次に移ろう暇つぶしで忙しい人たちの何と多いこと。
ベルナルドゥスという修道院院長は、読書について「食物を反芻する牛になりきるのです。」と言ったそうです。この場合の読書は精神を陶冶する聖書であったでしょう。味わって読むこと、これを牛になりきるのだと。ヤギになりきってもいいでしょう。
反芻動物をじっくり観察した人は少ないでしょうが、ぜひしっかり見ていただきたいものです。
地面に体を完全に預けきって、ただ、この瞬間を味わう。こういう姿を見れば人間など全然えらくもなんともないことがわかる。
3・人生に拘泥せずに生を生きる
1や2と同じことではあるのですが、ヤギはまさにヤギを生きていると同時に、生を味わい生に生きています。
人間は、よくて人生をどうよく生きるかを考える程度で、生を生きていることには無関心。
人生は大切ですが、人生に拘泥していては生から離れるばかり。
人生がすべてだというのは人間の価値観。ヤギはウルトラマンや弥勒菩薩のような存在として捉えられます。
こうして見ると、ヤギは単にかわいいおバカな家畜と簡単に言うことはできないでしょう。
「なぜヤギを飼っているんですか?」と聞かれると「ヤギだから」と答えるようにしていますが、上記のような話をしても通じないので、一言で済ませるようにしています。
ただかわいいから、というだけではないし、できれば単なる家畜やペットという固定観念を外して見ることができれば、かわいいと同時に、とてつもない教えをもって地球上に現れた使者であると見て取れるでしょう。
ウルトラマンはレオもしくは80以降、まったく面白みがなくなりました。タロウのホームドラマ路線からと言ってもいい。
ひとえにイケメン俳優を使ったり、シリーズものとして型にはまって子ども向けになりすぎたように思えます。身近なヒーローやマンネリ化は使者性をなくす。
もし、新シリーズを作るなら、ウルトラマンヤギーはいかがでしょうか、円谷プロさん。
ちなみに、木曜日から高島屋でもウルトラQからセブンまでの展覧会が開かれます。
再ブーム到来か。
ただ「ウルトラマン創世記展」の感想としては、当時の隊員の制服や武器などが展示されているのを見て、無言館を思い出しました。従軍した兵士たちの遺品を見るような感じ。
引越しや異動時期も終わり、大きな依頼はありませんが、新居に移ってから、やはりもう少し整理をしておこうという方もおられます。
比較的余裕のある季節なので、出張もご都合に合わせやすいです。
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写真はすべり台に無理やり乗せられて降りられないヤギスケ
