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《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記

映画雑感「アクト・オブ・キリング」「テルマエ・ロマエ2」

2014.05.12

京都シネマで先々週に見たアクト・オブ・キリング」。
この映画はやはり、書いておいたほうがよいものでしょう。

1960年代にインドネシアで共産主義撲滅のために、公然と殺人がなされ、現在でも正当化されている。監督は最初、被害者を撮影しようとしていたのですが危ない目に遭うのを恐れ、被害者から加害者を撮影してはと提案される。
前に紹介した「世界の果ての通学路」と同じく、はじめに追いかけようとしていた対象と正反対のものを撮ったときには、得てして、非常に興味深い作品に仕上がるものです。

一見マンデラ元大統領のような主人公が、1000人は殺害したとされるアンワル。
彼は、映画館のダフ屋をしており、大の映画好きでした。
その映画の殺人手法を実際の殺人に取り入れます。
最初は嬉々として、映画映りを気にしながら、殺害現場で針金を使って具体的に殺害状況を演じていく。
ところが、自身が被害者を演じる段になり、吐き気を催し、自身の映像を正視できなくなってくる。

心理療法であるロールプレイを結果的に行ったことになり、また、その映像を客観的に見るという作業が非常に効果的でした。
同じ京都シネマで「ハンナ・アーレント」を見ていたこともあり、殺人者は悪魔ではなく、ちょっとした引き金で誰でも容易に行うことができるのだということがよくわかります。
ナチスの党員がユダヤ人を冷酷に虐殺し、家に戻ればよき親を演じペットを可愛がっていたのと同じく、アンワルも孫には優しいお爺ちゃん。
一度やってしまえば、後はその行為(自己)を肯定するためにさらに殺しを重ねていくということもあります。
見ておいたほうがいい映画でしょう。


次は打って変わって、有名どころの「テルマエ・ロマエ2」。TOHOシネマズにて。
1がおもしろかったので2も見ることに。

個人的な見所は、指圧の浪越徳三郎の出演。
50歳以上でないと知名度は低いと思われる浪越徳次郎(写真)のパロディ。
生き神と崇められる徳三郎がハドリアヌス帝の病を指圧で治癒してしまう。
私も人に教えられるまで浪越さんの存在を知らなかったのですが、自伝を読んだり、自身の出演されている映画を見たりして実におもしろい人物であり、傑物であることを確信しました。

「指圧の心 母心 押せば命の泉湧く」のフレーズが当時は有名になったようです。
数々のエピソードがまた無類におもしろい。
『宮本武蔵』を書いた吉川英治が筆が進まなくなると浪越さんを呼び、10分くらいでアイデアが浮かぶと全額払って執筆に取りかかる。浪越さんは『宮本武蔵』も『太平記』も自分が半分書いたようなものだと豪語する。
首相の吉田茂の治療に行った話もすごくおもしろいのですが、長くなるので割愛します。
マリリン・モンローの胃痙攣も治療し、指の法悦だと助平顔いっぱいに語っています。

浪越さんの話をし過ぎました。
映画に戻して。

映画全編に流れていた音楽はすべてクラシックだったと思いますが、その効果の程がすばらしい。
クラシック音楽が効果的に使われている映画は名作になりやすい。
映画そのものよりクラシックのすごさに改めて感心させられました。
クラシック好きでなくても、誰でも聞いたことのある曲ばかりですが、すばらしい演奏ばかり。
感動を増幅させてしまう音楽のすごさと怖さを思い知らされます。

・・・映画自体の感想ではないですね。まあ、単純にバラエティとして楽しめます。



土曜日は、何度もお持込いただいている方のお引越しで滋賀の大津へ出張。
思想、美術関係など幅広いジャンル。
本日は左京区へ。郷土史料が中心。
暖かくなり、身体も寒さからほぐれてきた今日この頃。
本の整理日和が続きます。

映画雑感「アクト・オブ・キリング」「テルマエ・ロマエ2」

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