《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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人相と食
2014.08.11
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はじめて韓国映画を映画館で見ました。
京都シネマで『観相師』を。
予告編 https://www.youtube.com/watch?v=i2Kq_73eLC0
史実の覇権争いに観相師を絡ませて、笑いもお色気もありながら血なまぐささいっぱいの救いも何もない終わり方。それでもよくできた映画で、最後までじっくり見せてくれました。
少し観相師に興味を持って調べてみると、日本では水野南北という江戸時代に生きた人が有名であると知る。
さっそく、その自伝をもとにした小説『だまってすわれば』(神坂次郎著 小学館文庫)を読んでみました。これが実におもしろい。極道であった南北が通りがかりの僧に死相が出ていると知らされ、1年間白豆と麦だけの食事をすることに。1年後にその僧に出会うと死相が消えていると驚かれる。南北はここで観相に非常に興味を覚え、この僧に弟子入りし、みずから散髪屋、風呂屋、処刑場で働きながら顔だけならず身体、それも生きている人間と死体の違いも観察する。
こうして、「だまってすわれば、ぴたりと当たる。」と流行りの観相師として世に知られることとなる。
南北の記した現代訳『南北相伝・修身録』(東洋書院)も次に読んでみました。
焦眉は相法にあるのではなく、「修身録」にあると言えるでしょうし、現代人にも深く感じさせられるところがあるはずです。
額がどうだ眉がどうだと書いてあっても、こういうことが書いてあります。「何一つ取り柄のない貧相な人でも、心が正直な人は、極貧になることはなく立場にふさわしい生活をします。そのため、貧者の福分は正直に宿るといいます。」と。
身も蓋もない言葉で、観相の意味があるのかと言いたくなります。
たしかにそうで、南北自身「修身録」で、ひたすらに飲食の大切さを説いています。
自身も食を変えたおかげで死相がなくなったわけですから、食が相を変える。だから食が何より大事なのだと。
食さえ腹八分で慎んでいれば多少酒を飲んでもOK、食さえ慎めばいくら遊郭通いをしても大丈夫。食事を便所に放るのは気が引けるだろう、余計に食べるのはそれと同じだと、身体に毒を溜め込んで無駄にしているのだと、ただただ食のみに力を入れて説いています。実際、南北は酒を飲み、何人もの妻を娶っている。
相法は二の次三の次で、食が第一。
結局観相といっても、奥義はほとんど教えられないと言っています。
実際目に見えるものだけでは捉えられないからでしょう。気脈を読むことができなければ、表層の見立てしかできない。
人は「火」が「止」まっている」から人だと。その火は丹田にしっかり収めることだと。火が去れば死んでしまう。ここでも丹田の重要性が説かれます。
心身のバランスが取れていれば運もよくなるし、そうなれば運自体を問題にすることもなくなる。
占いなどそもそも必要なかったのだと知ることになる。生にしたがって生きる、それだけになりますから。
食といえば、昨年断食をしましてその話を書きました。
http://zentekido.on.omisenomikata.jp/diary/547080
1時間ほどの「絶食療法の科学」という動画を紹介しておきます。よくできた番組だと思います。断食療法を保険適用にすべきでしょうが、なかなか難しいでしょうね。話題にすら上らないので。
https://www.youtube.com/watch?v=oA-eI2WQLRU
