《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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新譜のレコード
2014.11.17
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今ではレコードを聴く人はマニアということになっていますから、レコードで新譜を出すことはほとんどない。
入手するには中古レコードになるわけですが、それでも新譜がまったくないわけではない。
クラシックは昔のレコードを新たに出すことは今でもあります。
数年前に歌手もCDと併せてレコードで出すということが少しだけ流行ったことがありました。
宇多田ヒカルや倉木麻衣も出しており、今回、倉木麻衣の4枚組レコードを取り寄せて聴いてみることに。4枚組で8千円くらいなので価格は良心的。
しかし、予想していたように歌手のレコードを新譜で発売する意味はないことを聴いてみて感じました。その理由を3つ挙げてみます。
1・そもそも、デジタル音源をアナログに変換してもアナログの厚みはあまり出ない
この後に人から勧められた中森明菜の30年前のレコードをかけてみると、倉木麻衣のものとは雲泥の違いがある声、楽器の厚みに驚かされました。
どちらが上手下手という問題ではありません。どちらも歌姫と呼ばれてもおかしくはない。
ただ、アナログとデジタル、どちらで録音したものかの差は明瞭でした。
2・現代の歌手の声質がデジタル的であるため、アナログの必要性がない
昭和歌謡のような豊かな厚みで歌う人はほとんどいないため、現代で流行るエッジの立った硬質の声はCDはじめデジタル機器のほうが向いているようです。
浜崎あゆみが出てきたときは、超音波にしか私には聞こえませんでしたが、デジタル音そのものの声は時代の要請に合っていたのでしょう。
3・楽器もデジタル化されている
初期のTMネットワークがわりと好きで、デビューシングル「金曜日のライオン」のレコードをよくかけています。
過去の録音のクラシックがいまだにレコードで発売される意味はあると思っており、それは楽器自体がアナログだからです。アナログのものはアナログで聴くのがよい。デジタルのものはデジタルで。TMがシンセサイザーというデジタル楽器を用い、デビューからしばらくしてCDへと変遷していったのはちょうど時代の波に乗ったと言える。
それでもアナログ録音だったレコード時代がもっともいい味を出していたように思われます。
振り子のように、時代がレコードに注目することもたまにはあるでしょう。
流行は繰り返すように。それでも主流となることはなく、時代が逆行することはない。
では懐古趣味のように過去のものだけに浸っていればいいのでしょうか。
温故知新の言葉通り、過去の遺物と言われても、それが現代を照らし出す役割は侮れない。
それはそれとして、これからはローカルなライブが見直されていくのではないかと。
クラシックもバブル期は大規模な交響曲が主流でしたが、今は小ぢんまりした室内楽が売れ筋だそうです。
アナログ楽器をアナログで聴くためには、機材をつながずに楽器そのままの音で聴くのが原点。
大きなコンサートホールや武道館ライブではなく、中世の貴族が室内で音楽を楽しむ、そんな集まりがそぐわしいのではないかと思っております。
今朝の新聞に老前整理の話が。
レコードで床が抜けそうだと妻に言われ、自分で買ったものをどうこう人に言われたくない、地震でレコードが倒れてきて死んでも本望だと思っていた高齢の男性が、ひ孫が遊びに来たのを見てはっとこの子を死なせてはならないと思ったそうです。
それでレコードを大半整理し、本も古本屋に売り払ったとのこと。趣味のコレクションは周りの人のことも考えてという内容でした。
たしかにそういうことも考えておいたほうがいいかもしれませんね。
そういう方が増えてきています。死後に家族に整理で迷惑をかけるのは忍びないので、元気なうちに整理をしておこうと。
本はもちろんのこと、レコードも当店は取り扱っております。
整理をお考えの際は、ご一報ください。
秋の灯や漆黒の盤針泳ぐ
紅葉落つ蝶の骸を飾りたり
落つる毎骸彩る紅葉かな
紅葉落つ一枚のみが肩の上
秋風の通り来る道ヤギ見つむ
写真はすばる高校デパートで購入したブックカバー。
生徒が企画デザイン。
高校が企業とタイアップしてお菓子やパンなどの商品を開発販売。
2日間で1500万円近くの売り上げになるんだとか。
