《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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橋場千舟『句集 視線」(ふらんす堂)より
2023.09.11
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2008年
「半夜」同人 「船団の会」会員
第3句集
名月をオペラグラスで眺めけり
ものの芽がまだ何色といふでなく
ひとつ傘さす冷ゆること言ひ合うて
河豚雑炊ふぐの口して吹いてをり
まばたきをして白梅に近づきぬ
磯巾着…
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杉本征之進『句集山椒魚』(角川書店)より
2023.09.06
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2018年
「運河」同人
第1句集
はんざきの眼なかなか見つからず
熟考の末の一歩か山椒魚
はんざきのゐぬかと岩に目を凝らす
挨拶の泡が二つ山椒魚
首出して見ても水槽山椒魚
手をうつて見てもはんざき応へざる
二三回会へ…
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山中弘通『句集 寶船』(角川書店)より
2023.09.04
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平成18
「運河」編集同人
第3句集
春の鯉かたまつてゐてよく動く
観梅に来て観桜の段取りを
秋興や渚にひとりゐることも
猪狩の片眼つぶれし紀州犬
真言をとなへて点火虫送
赤き月出て来し祇園祭かな
二つ折手拭被す菌籠
豊…
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大石悦子『句集 百花』(角川書店)より
2023.08.30
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平成9
「鶴」同人
第3句集
祭馬涼しき木蔭もらひけり
海抜を訊きて涼しくなりにけり
葛切に家居の腹の出来にけり
訊かれたることに答へず真菰刈
眼の力曼殊沙華にて使ひきる
枯山が日ごと枯山らしく見ゆ
きのふ恋ひけふ憂か…
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相内をさむ『句集 黒潮の沖』(文學の森)より
2023.08.29
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平成31
「きたごち」同人
第1句集
夏草の踏み分けらるる芭蕉句碑
黄八丈織る工房の古簾
若杉の秀の揃ひたる冬景色
欄間拭く巫女の二の腕年用意
ハンカチの木の花拾ふ朝の園
国境を跨ぎ虹張る大瀑布
鰯雲みすゞ生家の空覆ふ
…
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苑実耶『句集 大河』(角川書店)より
2023.08.23
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平成23
「空」同人
第1句集
真剣のきつ先に立つ博多独楽
左義長の振舞ひ酒に煤浮けり
次の世も隣に居たし螢狩
我が影も灼けて円形闘技場
日傘くるくるいつまでも待つつもり
人妻であるを忘るる花野かな
石仏につづく石段椿…
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矢島久栄『句集 太白』(邑書林)より
2023.08.19
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1994年
「狩」同人
第2句集
だんだんに真顔草虱を払ひ
手入れせし松をくぐりて庭師辞す
天上に雨もりの染み里神楽
顎紐のあとくつきりと一年生
植ゑ替へて早や優劣の茄子の苗
衣更へて海へかたむく心かな
咲くことをやめ…
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山崎秋穂『句集 満目』(牧羊社)より
2023.08.14
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平成3。
「南風」同人
第3句集
空蝉にのこるひかりの茶色の眼
こゑのあと音の澄みゐて松手入
そのまはりをぐらく涅槃し給へり
警策のいろなき風にひびかせぬ
落葉駆ける地上一寸夕あかり
しはぶきのひとつ此岸に初法会
漆黒…
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山口速『句集 道しるべ』(富士見書房)より
2023.08.06
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平成11
「狩」同人
第3句集
朴落葉土になじめぬままの反り
飾り海老龍に劣らぬ髭を張り
たかんなに近づく鍬を後ろ手に
遠く来て茅の輪一歩でくぐり抜け
神殿に脱ぎ捨てられて蛇の衣
生きるとは残さるること鳥雲に
あかがね…
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石動敬子『句集 逢隅』(多島海社)より
2023.07.31
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2014年
「幡」会員
第2句集
御写真の通りの御方椿餅
天高き杜の都のクラス会
啓蟄の採寸ぐつと腕伸ばす
ふらここのそばにやつぱり来てしまふ
オクターブ低き声あり卒業歌
短日の瞬間接着剤に蓋
羽ばたくを押さへ鶯菜を茹…