《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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尾池和夫『句集 瓢鮎図』(角川書店)より
2020.08.19
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2017年。
「氷室」副主宰。第2句集。
比良八荒比良の見えざる荒れじまひ
暑つおすな生きとゐやしたん逢ひとおす
あと一つ星飛べといひ星飛べり
君そこに花に埋もれるやうに立て
湖を渡り切つたる夕立かな
この鰤は氷見…
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有本銀河『句集 秋の虹』(青磁社)より
2020.08.09
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2014年。
「白露」「椎の実」所属。第1遺句集。
冬麗の空に入らむと観覧車
青梅雨や画廊のひとの眸すみ
たかんなの糶や仁王の脇を借る
寒禽の声はねかへす石舞台
白砂に日の斑の散華鑑真忌
賑はひの巷にピエロ阪神忌
空…
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橋本美代子『句集 プラハの月』(角川書店)より
2020.08.01
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2008年。
「七曜」主宰。第5句集。
永平寺雪解の溝に雪を捨つ
馬の顔ルオーの基督めく朧
そこここに落石そこに岩すみれ
花仰ぎつつ目的は別にあり
山藤をくぐり方位の狂ひたり
しやぼんだま避けてはくれぬ松の幹
一日中…
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野田節子『句集 糸車』(霜林発行所)より
2020.07.25
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昭和55。
「霜林」同人。第1句集。
舟小屋に舟無き浦曲暮遅し
湖見えて旅のはじまる花菜風
春ふかし初めて貰ふ子の名刺
湖魚売の呼ばれて返す東風の橋
春寒し拭へどくもる銀の匙
ゆく春の椅子ふかく見るミレーの絵
波見つ…
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鷹羽狩行『句集 十六夜』(角川学芸出版)より
2020.07.14
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平成22。
「狩」主宰。第16句集。
音なきを山の音とや大旦
初富士の刃の反りを裾野まで
一枚の明るさを置く薄氷
下萌の月明りにもわかるほど
白梅の咲くに弾みのつきはじむ
春めくやわだちのなかの深轍
刃をたつるごとき…
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明石志都江『句集 白日傘』(玉梓発行所)より
2020.07.11
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令和2年。
「玉梓」同人。第1句集。
眠さうな太陽の塔うららけし
目借時膝の書物のすべり落つ
若作りして覗き込む初鏡
チューリップ私やつぱり赤が好き
夕暮れの風をさがしてゐる風鈴
夫の顔時々眺め梨を剥く
小流れの落葉…
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鷹羽狩行『句集 十五峯』(ふらんす堂)より
2020.07.09
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2007年。
「狩」主宰。第15句集。
年迎ふ山河それぞれ位置に就き
添へ書きはみな声もちて年賀状
一枚の凧一枚の海の上
老病死愛恋選句始かな
太陽へ雪間それぞれ声をあぐ
啓蟄や庭よりあがり稿を継ぐ
川上に鉄橋の弧や…
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茨木和生『句集 真鳥』(角川書店)より
2020.05.17
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2015年。
「運河」主宰。「晨」同人。
第12句集。
木の化石木の葉の化石冬あたたか
見し夢のことのはてさて忘初
春駒の鞍外されて走りけり
ひと谷をとよもすこともほととぎす
滝の水かつて棚田も養ひき
蟻抓み抓み損ね…
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大串章『句集 大地』(角川書店)より
2020.03.17
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2005年。
「百鳥」主宰。第5句集。
海苔掻くや岩に夕日のにじむまで
ワイングラス火より生まれて涼しかり
金魚売老いて世間を諾へり
泉に手浸し言葉の湧くを待つ
菊人形生れて菊師と見つめ合ふ
白鳥を見に行く切符配ら…
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梶原抱芽『句集 巷』(近藤書店)より
2020.03.10
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昭和33。
「雪解」同人。「懸巣」主宰。
第2句集。
卒業のきのふの校舎よそよそし
子が泣いて蚊柱の蚊の殺到す
遠足をあすのたたみに夏みかん
キャベツだき主婦らはろじの家々へ
手相見へ梅雨の傘より手を出だす
としより…