《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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大澤鷹雪『句集 夏木立』(本阿弥書店)より
2020.12.24
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2015年。
「春月」同人。第1句集。
夏風邪のなほ抜けきらず桜桃忌
鞦韆や漕ぎて越えたき一線も
色恋は不老の秘薬業平忌
薫風を胸一杯に笛を吹く
気の急きて効かぬ手足や運動会
芸人の独楽白刃を渡りけり
春愁や遂げし想…
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野田別天楼『句集 雁来紅(大阪の俳句ー明治編8)』(ふらんす堂)より
2020.12.18
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2018・昭和10年。
「雁来紅」主宰。
神代よりつづきて永き日なりけり
ぐじやぐじやと家がつまりて朧なる
畑を打つ土くれ足になだれよる
雀子のふみつゝつ草におどろける
三山の神話をおもふ明易き
鳥たちしあとに寒さ…
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宮崎浩枝『句集 山茶花』(玉梓発行所)より
2020.12.14
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令和2。
「玉梓」同人。第1句集。
恵方へと一番好きな道を行く
盆梅の美しき角度に椅子一つ
運針のヘの字ハの字や子どもの日
部屋隅に残るビー玉夏果てぬ
初便り漢字を確と百二歳
茶柱の二本やバレンタインの日
出番来る夫…
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藤本安騎生『句集 平野』(角川書店)より
2020.12.13
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2013年。
「運河」同人。「晨」同人。
第5句集。
一滴の水なき崖の氷柱かな
ずぶ濡れの海女が糶場へ貝運ぶ
駐車料徴収に来るさくら守
白地着て五欲にとほき皃をせり
ゐるゐると岩魚の淵を見て飽かず
茅の輪ぬけ大和国原…
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戸田和子『句集 もっと遠くへ』(朝日新聞社)より
2020.12.09
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2000年。
「鴫」会員。第1句集。
傾けて桃吸ふ顔を見られをり
売り切れの札に鶯餅の札
春風や乳歯握らせ児を帰す
月の駅恋の電話に隣り合ふ
菊人形まなざし同じ姫と武者
にこにこと誤解してをりチューリップ
逆髪をたて…
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金山桜子『句集 水辺のスケッチ』(ふらんす堂)より
2020.12.05
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2018年。
「運河」会員。第1句集。
欄干に木肌のぬくみ猫柳
田へ下る轍はこべら埋めつくす
無線機の感度良好蘆若葉
行々子あぶくはじけるやうに鳴く
緑蔭の石の円卓囲みけり
水辺から水辺へ順路未草
うきくさの底より尾…
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豊田都峰『遺句集 林の唄』(東京四季出版)より
2020.12.02
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平成28年。
「京鹿子」主宰。第10句集?
いくすぢも水を流して夏の苑
筆記具は濃い目好みや水澄める
海鳴りのたたみかけくる冬構
海に向く黒板塀も冬構
河豚食べて川すぢの灯にもどりけり
薄氷をすべるは昨夜のなごり風
…
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浅井民子『句集 四重奏』(本阿弥書店)より
2020.11.25
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2017年。
「帆」主宰。第2句集。
黒々と島立ち上がる初日の出
立春の岬が分かつ海の色
踏青やパレットに溶く風の色
踏切の向かうは海よ鰆東風
七変化三のあたりの縹色
海を見に行く白シャツの帆となつて
糠床の機嫌よろ…
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豊田貴子『句集 紫野』(文學の森)より
2020.11.23
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平成25。
「鳰の子」同人。第1句集。
名月の昇るに間ある湯あみかな
新聞の投げ込まれしを聞き朝寝
水打ちし一瞬土のほめきたる
毛糸編む母との話つきもせず
病室の暗きに光り寒卵
菫踏むミニスカートの脚すらり
風薫る白…
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『季語別 茨木和生句集』(ふらんす堂)より
2020.11.16
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2003年。
幹太き松を抜け来て春の海
雪卸せざりし蔵の雪雫
その上に水の乗り来し薄氷
睦事はこのごろとんと桜餅
春障子鯉が跳ねしと開けにけり
自句自解させられてをる春炬燵
麦踏の手をどうするか見てゐたる
意を曲げぬ…