《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記
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立半青紹『句集 風知草」(牧羊社)より
2019.09.30
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昭和62。
「響」「聚」「花曜」同人。第一句集。
ひらかなの女でゐたし雪柳
墨客を入れて僧坊花の宴
流されてゆくも生活かみづすまし
綿虫と思ふ薄日におしらさま
一月の俗世を隔つ白砂盛
大飾して五条坂山城屋
灯さねば春…
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平田繭子『句集 合歓母郷』(牧羊社)より
2019.09.28
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1989年。
「風樹」同人。第一句集。
嬰の歯の乳房にふるる合歓の昼
喪帰りのたもとの重き葛の風
ひとり居の膝をかかへて雪をんな
春寒や鶏肉に毛ののこりをり
花明りして石仏に母のかほ
山の日を水車が廻す遅日かな
秋冷…
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片岡めぐみ『句集 平城山』(ひこばえ社)より
2019.09.21
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昭和63。
「ひこばえ」同人。第1句集。
ゆく年の平城山を越ゆ鐘のこゑ
鳥雲に青春の書の革表紙
冬芒てのひらほどの湖光る
ひと言でこと足る夫婦柿を剥く
よき顔となられ日向のちやんちやんこ
万緑の底に眼鏡をはづしをく
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右城暮石『句集 上下』(四季出版)より
2019.09.08
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昭和61。
第2句集。
干し布団厚きは稀の客のため
草矢よく飛びたり水に突きささる
曼殊沙華咲くほか何も無きところ
風邪の牛ごぼごぼ減らす注射液
一身に虻引受けて樹下の牛
万緑に坐せし新聞凹みしまま
氷菓売る老婆に海…
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岡本多可志『句集 熱気球』(邑書林)より
2019.08.31
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1993年。
「木語」同人。第1句集。
団栗を拾ふ背中に又団栗
夕焼を掬ひて水車廻りけり
毛糸玉転がつてより猫のもの
春以外立入禁止花菜畑
春服の少女道々よく話す
なぞなぞの降参ばかり鰯雲
秋空へ光る鏡や引越しす
白萩…
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玉置仙蒋『句集 吉野川』(鳥影社)より
2019.08.27
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昭和59。
「かつらぎ」同人。第1句集。
桜鮎光りつなぎてのぼりくる
髪ほつれ顔匂ふ夕遍路
麻雀の裸四つの明易く
金剛の滝は行者の衣かな
狐火や双娘斉しく化粧せり
丸木橋影が躍つて渡られず
蠛を息で払ひて鎌を研ぐ
岩清…
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波多野爽波『句集 一筆』(角川書店)より
2019.08.20
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平成2。
「青」主宰。第4句集。
春着の娘骰子投げて渡すとは
一八のほかにはこれといふ花も
脇息に倚れば直ちに牛蛙
墓参ほめられし句を口ずさみ
次なる子はやも宿して障子貼る
雲ケ畑大きく洟をかみ捨てぬ
行々子殿に一筆…
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山本歩禅『句集 森の鹿』(私家版)より
2019.08.14
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昭和59。
「かつらぎ」同人。
群羊のねむるはいづこ月の原
外套を脱げば胸なるクルスかな
地を蹴ればはや天のもの寒鴉
子を負へば耳に舞ひをる風車
涅槃図はひろびろと目のとどかざる
泉あり遠き神代に恋ありき
炎天に即し…
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杉本雷造『句集 昨日の翳』(卯辰山文庫)より
2019.07.23
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平成3。
「頂点」代表同人。
第3句集。
老梅を撫でれば眼窩ありにけり
手を拍(う)ちて雪が降りだす伊賀の里
仏顔のすこし見えたり凍雑巾
絵日傘をゆっくり廻す爆心地
流星のあとの暗がり水子塚
北枕してよく見える紅葉山
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中村与謝男『句集 楽浪』(富士見書房)より
2019.07.14
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平成17。
「幡」星辰集作家。
第一句集。
田水張り青天を田に漲らす
黒葡萄包む「山梨日日」に
義姉にときめきしことあり栗の花
体操の息揃ひたる広島忌
双六の終の二人となつてゐし
豆粒のごとく現れ耕せり
沙羅の花見つめ…