《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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佐々木正樹『句集 暮らし』(花神社)より
2018.09.20
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平成13年。
「幡」所属。
なんと自由な句境なのだろう。
ただただおもしろく読み、感心させられた。
温度が感じられる句が多い。
挙げたい句が山ほどあって困るほど。
掘り出し物の句集でした。
つんつんとつんとつまづき…
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乾広子『句集 雪行脚』(河発行所)より
2018.09.11
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観音の千手上向き時雨来る
一塊の家鴨のひかり冬に入る
花山葵泣かぬ女を粧へり
官軍の顔して抜ける木下闇
しろがねの浪にはだかる平家蟹
初午や面売り面の中に笑む
扇置くひがしに三十六の峰
みの虫のくの一貌や風の寺
桶一…
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西山禎一『句集 嵯峨御室』(本阿弥書店)より
2018.09.08
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「沖」同人。
好きな句の多い句集でした。
句形がしっかりしていて、見立てにも共感できます。
こういう句を常時詠めたら、どんなにすてきでしょう。
餅飾るしづかに闇のあとずさり
涅槃図の中に嘆きの余白あり
月鉾を解き…
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物語を信じる心
2018.09.07
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人は物語が好きです。
なぜなら物語はおもしろいからです。
よって、自分にとっておもしろい物語を真実と解してしまう習性があり、本人はそれに気づいていない。
物語と対極にあるのが禅でいうところの前後裁断。この一…
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小井土公梨『句集 カーテンコール』(天満書房)より
2018.09.03
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膝歩きして涅槃図に近づきぬ
台風の眼の中にゐる私かな
朝涼の松の下より掃き出しぬ
寒稽古おのれを叱りゐたりけり
もう一夜泊れと母が言ふおぼろ
火を掻いてゐるが主や壺焼屋
けふよりは鵜のゐる景色嵐山
本堂に真つ赤な電…
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茨木和生『句集 真鳥』(角川書店)より
2018.08.30
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探し物するごとく見て涅槃絵図
大峯に立つ屈強の雲の峰
花野広がる花嫁に花婿に
年迎ふ本尊盗まれたる寺も
日差にも寒さの届きゐたりけり
あつぱれと褒められてをる朝寝かな
蛇も迂闊われも迂闊や蛇を踏む
霍乱の子のちんぽ…
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角川春樹『魂の一行詩 晩夏のカクテル』(日本一行詩協会)より
2018.08.30
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カバーのピアノに置かれている手はホロヴィッツだとのこと。
ハードボイルドっぽい句は響かなかったが、心象句は抜群のセンスだと思う。
無季も混ざっている。
恋の句は君にまかすと亀鳴けり
鯥五郎なにも信じてないんだ…
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鈴木真砂女『句集 都鳥』(角川書店)より
2018.08.23
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地虫出てすぐ波音を聞きにけり
砂嚙んで果つるほかなし秋の波
壱岐の夏四十歳は海女盛り
冬菊に埋めつくされて死はたしか
飛ぶ力出て来て春の蝿となる
大波を一つくぐりて泳ぎだす
冬の滝音を殺して落ちにけり
帰国してその…
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辻田克己『句集 明眸』(氷海俳句会)より
2018.08.16
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「幡」主宰の第一句集。
700句という膨大な数。
雨の中に雨降りずぶ濡れのプール
永かりし風船の黙妻の黙
自説などなし吹かれ飛ぶ浜千鳥
禱りより固き瞑目シャワー浴ぶ
桜晴子の快便の快音よ
水筒の茶がのど通る深みどり
…
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効果音による承認ー「ゲーム90年の歴史」展に思う
2018.08.15
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城陽市歴史民俗資料館で開催中の「CONTINUE~ゲーム90年の歴史」展を見てきました。
蒐集家の寄贈によるもので、昭和初期のアナログゲームからアメリカの初期のコンピュータゲーム、白眉はやはり私が子ども…