《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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『子規遺稿 子規句集』(ほるぷ)より
2021.07.12
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昭和55年の復刻版。
大三十日愚なり元日猶愚なり
めでたさも一茶位や雑煮餅
日一日同じ處に畠打つ
涼しさや瀧を茶に煮る瀧の茶屋
夏嵐机上の白紙飛び盡す
舌頭に千轉するや汗の玉
子は寝たり飯はくふたり夕涼
蝉に遠く蛙に…
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江中真弓『句集 武蔵野』(角川書店)より
2021.06.22
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平成24。
「百草俳句会」主宰。第3句集。
凍滝となりきれぬ水弾けけり
散策のいつか本気に蕨とり
郭公に鳴かれ師の句碑去りがたし
今日はじまる渦ほどけゆく薔薇を褒め
ぎつしりと戦没者名蝉しぐれ
刈田道亡骸ゆくに明る…
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中村多阿子『句集 みづうみ』(東洋文化社)より
2021.06.17
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1998年。
「橡」同人。第1句集。
横断路厚着の老にすがらるる
修二会果つ良辯杉に星もどり
啄木鳥や釘一本の荘の鍵
亡き犬に似しが花野をよぎりけり
星涼し山羊いつまでも草の上
朝市や言ひ値くづさぬ息白し
風に耐へ人…
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江口克彦『句集 京師』(朝日新聞社)より
2021.06.09
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2000年。第1句集。
満開の明日散るといふ桜かな
み仏に囲まれ長閑骨董屋
石投げて薄氷を割る寂しいよ
政治家の言葉奇麗よしやぼん玉
梅雨あるもなくも不平の凡夫かな
テディベア持たされて泣く七五三
初みくじ顔で表す…
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和田ナラエ『句集 良夜』(青磁社)より
2021.06.05
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2004年。
「撫子」同人。第1句集。
子より受く汗の重さのユニフォーム
短日や忘れし文字はかな書に
着ぶくれて笑まへる母が夢枕
花柊終生母は粧はず
とむらひの後木蓮の風ばかり
山桜朝日夕日のさすところ
白南風や拭い…
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坪内稔典『句集 ヤツとオレ』(角川書店)より
2021.05.31
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2015年。
「船団の会」会員。第12句集。
バラの名はマチルダ君は山田さん
冬の木の何本目かはトルコ人
観音の臍出しルック春の雪
だれそれに浮沈があって夏のカバ
カバのデカ死んで日本の油照り
秋の今日トロンボーン…
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杉浦圭佑『句集 異地』(現代俳句協会)より
2021.05.26
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令和3。
「草樹」会員。第1句集。
女より舌を引きだす朧月
滝を見し者より順に声あぐる
読むうちに字の崩れゆく夏見舞
テーブルがただ大きくて夜の長し
歩くうち日の当り出す一葉忌
右向いて左を探すかたつむり
のどおくに…
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近藤陽子句集『なづな粥』(文學の森)より
2021.05.24
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令和2。
「未来図」同人。第2句集。
水涼ししばらく知者の貌でゐる
夏逝くやマルクス全集売り払ひ
大寒の闇が鼎のごとく座す
ためらはず恋猫となる夕月夜
麦秋やかすかに妬む人の才
くちなしや曲つてみたき曲り角
梅雨の音…
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山口昭男『句集 木簡』(青磁社)より
2021.05.16
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2018年。
「秋草」主宰。第3句集。
金鍔の四つ角かたき薄暑かな
汗の人隣の汗を見てをりぬ
秋すだれ巻き直したる太さかな
独白のやうに蓮の破れをり
なにもかも古き簾の内のこと
待つてゐる女が芒持つてゐる
さからはぬ…
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金子敦『句集 シーグラス』(ふらんす堂)より
2021.05.13
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2021年。
「出航」会員。第6句集。
サ行まだ曖昧な子の御慶かな
正の字の正しく燃えて吉書揚
抱き上げて子猫こんなに軽いとは
不等辺三角形の花筏
飛び入りのブレイクダンス花吹雪
蟻の列マーブルチョコの赤運ぶ
聖火の…