《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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木田千女『句集 白炎』(本阿弥書店)より
2022.05.04
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1998年。
「天塚」主宰。「狩」同人。第6句集。
ペン先で人めつた切りペン始
ひなあられ十粒添へられ患者食
夏場所や化粧まはしに星条旗
出目金を買うて龍宮城も買ふ
少年の獄舎に高き鯉のぼり
敬老といふ一番にいやな…
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浅井陽子『句集 狐火』(北溟社)より
2022.05.01
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平成14。
「運河」「晨」同人。第1句集。
膝揃へ直して子より御慶受く
金亀虫飛び映画ロケ撮り直す
岩を動かして半裂見せくれし
遭難の追悼といふ登山かな
石鯛の魚拓とりゐて墨足らず
どぶろくの瓶レッテルを貼りをらず
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藤田柊車『句集 中州』(狩俳句会)より
2022.04.29
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昭和62。
「狩」同人。第1句集。
初鏡座して鏡の奥も拭く
いわし雲佐渡と越後をつなぐもの
筆の穂を正して経を写し初め
磨崖仏見上げ遍路の息正す
祖父の墓洗ふ一升瓶の水
国宝の鐘の撞木に蝸牛
髪の冷え己が髪とも思はれ…
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山口超心鬼『句集 誓子星』(角川書店)より
2022.04.14
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平成8。
「鉾」主宰。第3句集。
明日は明日浮浪者今を日向ぼこ
葬を待つ河鹿の声に耳すまし
蜂を追ふ日頃使はぬ箒にて
墓に挿す供華に直ちに蜂が来る
眼に留めし福娘より笹を受く
花の灯が消えて一山真つ暗に
ちちろ鳴く城…
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髙崎武義『句集 榛』(本阿弥書店)より
2022.04.10
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1994年。
「狩」同人。第3句集。
雨を呼び雨に呼ばれて枝蛙
籐寝椅子きしませわれをとりもどす
釜の底鳴らす越前蟹の爪
寄鍋の火を消してより座の乱れ
網棚に一物もなし初電車
老鶯の声を重ねて二尊院
いなづまやおくれ…
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福永法弘『句集 福』(角川学芸出版)より
2022.04.04
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2014年。
「天為」同人、「石堂庵」庵主。第3句集。
風葬の島の南風に吹かれけり
過日とは過てる日か古暦
朝市のまづは雪掻く竹箒
涅槃図の象に隠れて何かゐる
無惨やな醤油の沁みる白魚の目
夏空を漕ぐかに母のミシン…
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前田攝子『句集 坂』(朝日新聞社)より
2022.04.01
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2001年。
「氷室」同人。第1句集。
星冱てて望遠鏡を離れぬ子
須弥壇へ底冷の階上りけり
囀の中の一羽に籠の鳥
すこやかな飛天の蹠夏兆す
夕焼けて試合に負けし子の帰る
合掌の仏に首(かうべ)なき炎暑
傷深き葉より風…
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井上弘美『句集 あをぞら』(富士見書房)より
2022.03.31
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平成14年。
「泉」同人、「聲」会員代表。第2句集。
病み抜いて母は蛍となりにけり
刃物売り秋風切つて見せにけり
校長のしばらく子供神輿押す
菊人形背筋に水を差されけり
即身仏かさりと雪の崩れけり
礼をして耳うつく…
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安立公彦『句集 早春』(本阿弥書店)より
2022.03.24
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2017年。
「春燈」主宰。第1句集。
ゆく春の何に涙や子の寝顔
蝸牛や勤めある身は影を曳き
竹春の雲は高きをわたりけり
山笑ふことに雑木の明るさに
海やまに海やまのこゑ終戦忌
八月や覚めて畳のひややかに
触れあふは…
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加藤国子『句集 能面』(角川書店)より
2022.03.10
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2015年。
「蒼穹」同人。第1句集。
コスモスの丈を違へて瓶にさす
山眠ることの遅さよ午の年
能面の奥より響く梅雨の声
天の川手枕をして読む源氏
薄墨に溶けたるごとき初夢や
初夢の駿馬は先を駆け抜けぬ
鉛筆を回す思…