《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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『加藤耕仔(花神現代俳句22)』(花神社)より
2021.04.25
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1998年。
「耕」主宰。
硝子戸の中の平穏黄落期
ゴーギャンの女等が声鮑舟
川鵜翔つ民話の渕の蒼きこと
身の中を潮が引きゆく秋の暮
轆轤挽く木地師の眉間鵙猛る
寄する波足裏に親し磯遊び
いつしかに母の齢や水中花
ラケ…
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『現代俳句の世界13 永田耕衣~』(朝日文庫)より
2021.04.12
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昭和60年。
日のさして今おろかなる寝釈迦かな
踊り子にトマトのこれる畑かな
死近しとげらげら梅に笑ひけり
春の鶴真白き糞を落しけり
秋の野に立つて秋野を見ざるなり
みの蟲をかたちづくりぬ夕風は
机上より寒鮒釣の見…
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横山美代子『句集 薔薇』(ひこばえ社)より
2021.04.06
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昭和56。
「ひこばえ」同人。第1句集。
動くものわがほかになし墓洗ふ
啓蟄の玉砂利あらく踏みにけり
読みのこす「女の一生」葱きざむ
閉経す野火跡に雨けぶりゐて
天炎えて孤に徹しゐる大鳥居
石舞台炎昼の蝶ながれもす
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丸谷才一『七十句』(立風書房)より
2021.03.31
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1995年。
作家である著者が70歳を記念しての70句。
挿絵は和田誠氏。
永き日や車内のひげの品さだめ
見送りて目薬をさす帰雁かな
闇に置けば呪文つぶやく蜆かな
困つてはじつと手を見る啄木忌
兄いもと違ふ解き方笹…
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薗田みちる『句集 東山』(俳句アトラス)より
2021.03.29
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令和1。
「雪解」同人。第1句集。
京盆地しまく黄砂に沈みけり
天に咲く泰山木の錆やすき
水馬影の大きく流さるる
比叡より秋の京射る日矢のあり
時代祭武将落馬にどよめきぬ
手を引かれ見掛けぬ顔も地蔵盆
枯れ枯れて哲学…
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田中君子『句集 大津絵の鬼』(ふらんす堂)より
2021.03.24
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2005年。
「泉」同人。第1句集。
茶が咲いて日向の猫のうすまぶた
病める子の部屋に放ちし螢かな
寒の雷壁の写楽の大目玉
嫁の手を借りて鏡を開きけり
魞舟をながめて坐る遅ざくら
炎吹くこともして見せ夏芝居
霞草夫を…
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瀬戸内寂聴『句集 ひとり』(深夜叢書社)
2021.03.12
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2018年。
第一句集。第6回星野立子賞。
柚子湯して逝きたるひとのみなやさし
はるさめかなみだかあてなにじみをり
子を捨てしわれに母の日喪のごとく
身ほとりのものの芽ばかり数へをり
落籍(ひ)かされし技(こ)の…
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藤井明子『句集 雪見障子』(安楽城出版)より
2021.02.16
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2005年。
「馬酔木」同人。第1句集。
誕生日すきな器に苺盛り
鱧寿司や京に育ちて京知らず
かりがねや人は禍福を振り分けに
日のめぐみ風の愁ひに秋深む
百勝の騎手さはやかに手を振りて
厄落し右より付けるイヤリング
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岡田陽子『句集 子ら』(私家版)
2021.02.12
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2003年。
「七曜」同人。第1句集。
独楽まはす兄に向ひて這ひ出せり
這ひ這ひの嬰に団栗をころがせり
玩具箱にどんぐりも入れおやすみなさい
風光る陶芸の森陶の椅子
子を逃げて蝸牛葉裏にひそみをり
手の中に螢捕らへ…
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大牧広『句集 冬の駅』(本阿弥書店)より
2021.02.05
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2009年。
「港」主宰。第6句集。
としよりをまだやつてゐる人に雪
裸木の裸の終り近づきし
さうめんをすする遠くに空母置き
エレベーターに人が棒立ち冬の底
さくら暮れ溝口健二的世界
祭笛巧みすぎたる憾みあり
盆三日…