《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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宮平知三『句集 大和三山』(文學の森)より
2024.12.19
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平成28
「風」会員 「山繭」同人
第1句集
手の出せぬ蜂の巣サッカーボール程
啓蟄の地を測量のメジャー這ふ
これよりは柳生街道山眠る
飛鳥寺昼を灯して梅雨に入る
草いきれ石舞台への分かれ道
原爆忌仰臥して聴くボレロか…
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村越化石『自選句集 籠枕』(文學の森)より
2024.12.18
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平成25
「濱」同人
除夜の湯に肌触れ合へり生くるべし
陽炎やふくらみもちて封書来る
葱抱へ土ともならで癩の身生く
鍋の耳しづかに山の夜長来る
望郷の柿食ふ口中まで入日
ホーと木菟雪国の土匂ひ出づ
母なき川曼珠沙華な…
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春田珊瑚『句集 驢馬の背に』(樹花舎)より
2024.12.14
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平成22
「田」会員
第1句集
秋ひとり裸婦が見つめる美術館
染抜きの「どぜう」ののれん春の宵
川音の近づいてくる昼寝覚
母の日の電話の母の声若し
停泊の船よりクリスマスソング
絨毯を織るジプシーの日焼けの手
炎天や驢…
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石牟礼道子『句集 泣きなが原』(藤原書店)より
2024.12.11
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2015年。
句集『天』ほかをまとめた一冊
死におくれ死におくれして彼岸花
天崖の藤ひらきおり微妙音(みみょうおん)
にんげんはもういやふくろうと居る
生皮の裂けし古木に花蕾
死者たちの原に風車 からから から
この春…
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『林徹句集』(文學の森)より
2024.12.08
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平成16
「風」同人 「雉」主宰
既刊句集より三百句
暗がりに万力緊める油照
眦に皺うつくしや麦の秋
豆咲けり鉄路にさらす家の裏
川を見て老人立てり終戦日
酒止めし二タ歳や蝉透きとほり
鶏頭の影地に倒れ壁に立つ
山国の空…
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伊藤由紀子『句集 天女の湖』(角川書店)より
2024.12.02
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平成21
「風」「雉」同人
第1句集
天守よりガラスのビルへ初燕
仔羊の重なり眠る星月夜
若草へ桜色なる牛の舌
白魚の透きて黒き目ふたつづつ
短夜や靴音高きフラメンコ
星涼し被爆の父と橋の上
名月や糺の森を水の音
春雷や…
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林徹『句集 荒城』(角川書店)より
2024.11.26
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2005年
「雉」主宰
第5句集
蝌蚪泳ぐぶつかるまではまつすぐに
花追うて花の飛びゆく奥吉野
篝火を消してしづかな鵜の泳ぎ
晩秋や地へくぐり入る水の音
独酌や虫出しの雷鳴りわたり
春耕や雲ひとひらの湖の国
春の瀧身を…
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細見綾子『句集 天然の風』(角川書店)より
2024.11.21
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平成4
第8句集
「風」同人
寒牡丹淡きは淡く濃きは濃き
椎の実のここぞとばかり落ち溜まり
雪嶺をはるか国仲平野かな
松秀で桜秀でて佐渡の春
遠ち方は黒づみゐたる青葉潮
年暮るる胸に手をおきねむらんか
流し雛手で送り波…
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矢野景一『句集 圭復』(文學の森)より
2024.11.15
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令和6
「海棠」主宰
第5句集
おさげ髪ぎゆつと土筆の束にぎる
死に下手になりたるわれらほととぎす
湖西線一日にして刈田の変
踏みつけて杖でひろげて栗の毬
風もまた紀の国の幸柿を干す
春の昼つの字への字に猫屈伸
浮いて…
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杉浦典子『化石の魚』(四季出版)より
2024.11.14
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「火星」同人
第1句集
皆寄りてゐるに語らぬ父寒し
朝顔をいつも裏より見る茶の間
月の藁塚人去りし後発光す
稲妻に髪濡らしきて反抗期
光るもの得て川に啼く寒鴉
子が乗れば馬となる石草青む
燕の子パン屋の軒を翔つ日来て
…