《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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川合民子『句集 春障子』(東京四季出版)より
2023.01.21
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平成9。
「松籟」同人。「沖」会員。
大根をごぼごぼと炊く風の夜
栗飯のほつこり炊けて嫁姑
鳥雲に二伸まである母の文
夏めくや女の白き土踏まず
瞑りて奈落見るごと髪洗ふ
大焚火指の先より輪に入りぬ
木曽は雪蔵にみその…
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黛まどか『句集 花ごろも』(PHP)より
2023.01.15
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1997年。
「月刊ヘップバーン」代表。
春の波恋に引き際ありにけり
初蝶の消えたるあたり草匂ふ
湖の面のひと揺れに発つ花筏
花冷のくちびるをもて黙らさる
芹摘の帰る帰ると言ひながら
バレンタインデーカクテルは傘さ…
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宇都宮敬子『句集 琴弾鳥』(ウエップ)より
2023.01.14
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2020年。
「鴫」「貂」同人。
第2句集。
曹達水シュワッと何か失へり
大皿の模様のやうに舌鮃
鎧ひたる騎士の風格夏館
踏んで脱ぐ水着に草の匂ひかな
隣国の文字まだ読めず冬銀河
数へ日や本は書棚を出でしまま
踏み入り…
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渡部有紀子『句集 山羊の乳』(北辰社)より
2023.01.08
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令和4。 「天為」同人。第1句集。
人日の赤子に手相らしきもの
夜店の灯にはかに玩具走りだす
秋ともし飛べない鳥の飛出す本
千本の影を整へ針祀る
聖夜劇天に吊りたる星あまた
卒業歌前のみを向き立尽くす
行く春や餡の重…
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渡辺花穂『句集 夏衣』(北辰社)より
2023.01.08
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令和2年。
「天穹」「銀漢」同人。
芽吹き初むこの木なんの木気になる木
電池切れの怪獣を抱く昼寝の子
破芭蕉切り取り線のあるやうな
生クリームの角が立ちたる天高し
蜥蜴出づクレオパトラの浴槽に
春の星ハープの余韻膨…
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渡辺四日女『句集 若松』(狩俳句会)より
2022.12.29
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平成3。
「狩」同人。第1句集。
喪の涙かくす日傘を斜めにし
許されて術後に吸ひし青みかん
薬臭の看護婦薔薇を嗅ぎゐたり
米うまい近江にあまた捨案山子
鉄打つを見てゐて同じ汗流す
医学書の五臓六腑を日に曝す
藁塚に声…
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大堀柊花『句集 増』(本阿弥書店)より
2022.12.19
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2002年。
「狩」同人。第2句集。
舞初や見えざる富士へ手をかざし
鬼女出でて火の強まりし薪能
くちびるをうるほせしのみ菊の酒
湯豆腐の角ふれ合うてそこなはず
恵方へと水上バスに人あふれ
灯を入れて涅槃哭く声よみ…
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藤田柊車『句集 望潮』(ふらんす堂)より
2022.12.13
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2007年。
「狩」「廻廊」同人。第2句集。
花篝城を影絵のごとくおき
囀りを四方より入れてマリア堂
胡桃割る怒りの力かりて割る
いさかひの相手もなくて啄木忌
ポケットベル鳴りて花野を引き返す
オリオンの胸へ一挙に…
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渡辺四日女『句集 一笛』(ふらんす堂)より
2022.12.03
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2007年。
「狩」同人。第2句集。
陶房のちらかる中の壺に梅
水たんと貰ひし雫つり忍
利かぬ気のおでこに一つ天瓜粉
えりぬきのものを手向けて今日の月
明けきらぬうちに空つぽ狩の宿
火事跡のホースをまたぎ立ち話
口伝…
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右城暮石『句集 虻峠』(角川書店)より
2022.11.29
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昭和55。
「運河」主宰。第3句集。
外燈の下に入り来て雪払ふ
雨待てり水の無き田を耕して
下界より見し白さなし雪渓は
深き雪犬踊り入り踊り出づ
天井に貯へゐたる牡丹雪
吾に向き向きを変へざる蟇
泳ぎ着き少年歩く大股…