《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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『竹村良三集(自註現代俳句シリーズ13期9)』(俳人協会)より
2024.11.12
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令和3
「天塚」同人
がんがんと雲の峰湧く賤ケ岳
叩きつつ聞きしラジオや敗戦忌
禿頭を撫づるごとくに墓洗ふ
旅に立つ神に子の婚告げにけり
死んだふりして大寒を生きてゐる
み仏に坐りよろしき西瓜割る
名月を抛り上げたり…
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大崎紀夫『句集 からす麦』(ウエップ)より
2024.11.09
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2012年。
「やぶれ傘」主宰
第5句集
龍太逝く花に嵐のくる前に
ひと漕ぎでふらここ風のなかに入る
ベイジンの夜の高きを柳絮とぶ
突堤の先よりもどる日傘かな
雲の峰龍太の山河のこりけり
牛の尾のしばらく休む女郎花
豆…
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『桂信子ー自選三百句』(春陽堂)より
2024.11.05
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平成4
「草苑」主宰
ひとづまにゑんどうやはらかく煮えぬ
閂をかけて見返る虫の闇
誰がために生くる月日ぞ鉦叩
ゆるやかに着てひとと逢ふ螢の夜
ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき
窓の雪女体にて湯をあふれしむ
しづかなる…
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中西倭『句集 送迎(ひるめ)』禽獣舎
2024.10.26
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平成16
「運河」同人
第1句集
くろかみをゴムで束ねて炎天へ
狸藁塚さげて軽きに驚けり
手袋をはづさず親鸞像拝む
ウインザー城の窓より巣立鳥
花冷や競馬新聞尻に敷き
田を植うる小学生がどかと来て
あり過ぎと文句言ひつ…
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田代青山『句集 油差』(星だより出版)より
2024.10.22
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平成23
第2句集
「梟」同人 「星だより」主宰
遁走の百足非非非非非非非非非
かき氷崩れて言はんこつちやない
コロッケのペチャクチャ揚がる秋の暮
人といふ肉管楽器しはぶけり
マスクして指名手配書見てをりぬ
給油されス…
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川勝好女『句集 逐日』(角川書店)より
2024.10.15
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平成24
「参」「晨」同人
第2句集
雛の日に童となりて母逝けり
金の芒銀の芒とそよぎけり
鬼城ほどが念力ゆるむ大暑とは
涸川に蝙蝠傘の突刺さる
それぞれの駅弁覗く春の旅
連弾の少年少女小鳥来る
落葉掃く落葉降る音きき…
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森田たみ『句集 月明』(創風社出版)より
2024.10.08
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2013年
「狩」同人
第2句集
はやばやと天の虜となりし凧
ラムネ飲む童に不思議一つ増え
花冷えや校門といふ鉄格子
連翹を抜けし風もう縺れゐず
推敲の一字削ぎたる涼しさよ
滴りの怺へ怺へて玉となり
指させば矢のごとく…
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倉持梨恵『句集 水になるまで』(ふらんす堂)より
2024.10.04
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2019年
第1句集
「炎環」会員
冷酒の女に派閥ありにけり
扇風機回して好きになる時間
青みかん一時間後に来る未来
クリスマス星を隠してしまふ街
毛糸編むとき一分は六十秒
両耳に一月の風受け止める
たんぽぽの内なるひ…
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楠戸まさる『句集 飛火野』(本阿弥書店)より
2024.10.03
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2000年
「狩」同人
第2句集
脱ぎすてしごとき漁網や朧の夜
沙羅の花落ちてこの世に音ひとつ
流るるもとどまるもまた水の秋
蓮枯るる枯れきらぬものぶらさげて
白鳥の降りくる大き脚垂らし
耳も目も遊ばせゐたる初山河
竹…
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塚田佳都子『句集 素心』(本阿弥書店)より
2024.09.25
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2016年
「好日」「草樹」同人
第2句集
鬼灯に日々の色ある暮らしかな
つむじ風どほりに落葉狂ひけり
ぼろ市のぼろ市らしき招き猫
白い花見るため外すサングラス
待つといふ時間の中の木の実独楽
賽一つ足して福笹たわみ…