《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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千鳥由貴『句集 巣立鳥』(ふらんす堂)より
2024.01.30
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2023年
「香羽」同人
第1句集
身ごもれることなど知らず磯遊
小説にならぬ人生苔の花
歳月はここにも流れ蝉の穴
風鈴をすべて鳴らしてひとつ買ふ
木には木の言葉のありて木の実降る
育児書に引く傍線や明易し
夢でなほ吾…
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柳井梗恒子『句集 面晤』(邑書林)より
2024.01.29
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2006年
「幡」会員
第1句集
汁椀をおきて黙祷原爆忌
つぶらなる眼の蓑蟲と出会ひたり
泥の中高野聖の足掻きゐる
麥埃腕にはりつく眞晝かな
空中庭園借景は雲の峰
娘生れたり数へ日のそのひと日
井伏鱒二逝く
はんざきや黑…
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名和直子『句集 月の浪』(東京四季出版)より
2024.01.22
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平成23
「浮寝鳥」同人
第1句集
例年の茸狩り誘ふ母の文
挿木より育てし乙女椿かな
念入りに手鏡ふきて業平忌
麩まんぢゅう届き新茶の封を切る
鳰の子の波のひかりに紛れけり
柿を選る婆一疊の日の筵
十夜鉦とゞめの一打あ…
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阪脇文雄『句集 鉤引』(文學の森)より
2024.01.15
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平成17
「運河」「三重俳句」同人
第2句集
厚さ増す妻のカルテや春寒し
耕せり枯野の端を捲るごと
山国に暮らせば寡黙冬木立
涅槃図の嘆きの外にゐて嘆く
蟋蟀の黒目に見つめられゐたる
訃を知らす硬貨の冷えをにぎりしめ
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辻田克己『句集 ナルキソス』(ふらんす堂)より
2024.01.15
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2007年
「幡」主宰
第8句集
雪消えて森や林や田や畠
教育大構内(キャンパス)にあり蝌蚪の国
筆立にぎしと団扇も挿してあり
虫売の目の高さまで子は跼む
しぐるるや都大路は昆布の艶
風邪の子に鶴折つてやる薬包紙
マス…
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飯田龍太『句集 山の木』(立風書房)より
2024.01.09
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昭和50
「雲母」主宰
第6句集
冬深し手に乗る禽の夢を見て
茶の花の映りて水の澄む日かな
凍雪を踏みてこころの花模様
子燕が育つ雲雀の声のなか
花びらを重ねて寒の菊にほふ
かたつむり甲斐も信濃も雨のなか
鱒池の隅に手…
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西脇妙子『句集 花筏』(六甲出版)より
2024.01.03
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平成8
「風」「雉」同人
第1句集
秋の蝶吹かれて川を渡りきる
冬牡丹くづれて菰の広さかな
鬼追ひを瓦の鬼が見下ろせり
月食に傷舐めてをり恋の猫
酒倉の裏春泥の深轍
筍(たかんな)を一夜ねかせし土間濡るる
歩くより早く…
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大島千鶴子『句集 巴里祭』(邑書林)より
2023.12.30
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1997年
「氷室」同人
第1句集
今朝もまた毛虫殺せし手を洗ふ
客去れば夫と二人や枇杷食うぶ
夢醒めて花野に一人立つも夢
むき出しにパンかかへゆく皮コート
命あらば逢はむといひて年の暮
門燈や落葉の好きな吹き溜まり
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豊田都峰『句集 草の唄』(東京四季出版)より
2023.12.28
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2007年
「京鹿子」主宰
第7句集
夏料理まづ風といふ一品を
満月の一願のごとかかりけり
木洩れ日のゆらぎに秋のひそみゐて
道しるべどこを指しても露ばかり
枯れきれば今日も日なたとなる中洲
遠回りして野の梅のまだ固…
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丸山海道『句集 花洛』(角川書店)より
2023.12.23
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平成10
「京鹿子」主宰
第11句集
ハァーと唄ひ出す初春の島めぐり
兎千生んで辛夷は花の木に
柏餅剥き柏の木思ふかな
鮨桶を緊むあかがねとなるも良し
露散るや破片合はせて土器一壺
牡丹枯れ一木づつの花名札
雨をもて木…