《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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松山好江『句集 遺跡野』(文學の森)より
2023.11.12
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平成30
「宇宙」同人
第一句集
女生徒の胸の弾けし更衣
朴落葉ごつこの皿に適ひたる
雷神のエールに応ふエースかな
夫婦滝落ちて烈しく一になる
機内にてストレッチせるアロハシャツ
一族の引きたるあとの端居かな
堆きもの…
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山代あづさ『句集 桜襲』(狩俳句会)より
2023.11.05
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平成10
「狩」同人
第2句集
犬撫でて落第の子の後向き
人魂の巧みな動き夏芝居
出まかせの名で呼んでやる枯野犬
肩凝らぬだけが取り柄の古ジャケツ
寒紅や嘘とまことの使ひ分け
雪女泣くに男の胸いらぬ
葬送ののち梅林へ歩…
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国吉玲子『句集 秋燕』(ふらんす堂)より
2023.10.30
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2010年。
第一句集
「泉」会員
蓮根掘り雲を残して帰りけり
白萩に触れたる傘を畳みけり
残寒の干潟ぶつぶつしてゐたり
駆け抜ける毛虫の落ちて来ぬうちに
瓢箪の括れはじめし雫かな
潦跳んできのこの国に入る
山羊の腹み…
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加藤楸邨『句集 怒涛』(花神社)より
2023.10.23
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昭和61
「寒雷」主宰
第十句集
たんぽぽのぽぽと絮毛のたちにけり
斧あげて風におどろくいぼむしり
咳をしてをれば猫きて嚏せり
躓きて雁の別れのもう見えぬ
残雪に手を拭ひけり与謝峠
月さして青柚子は葉とわかれけり
芭蕉…
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原雅子『句集 束の間』(角川書店)より
2023.10.16
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2011年
第2句集
「梟」同人 「扉」句会代表
海晴れて鯖に重みの増すころぞ
ゴムまりのぺこんと春の土の上
剪定に日差しちくちくしてきたる
長靴のぶかぶかと来る桃の花
Gパンのごはごは乾き登山宿
秋風やでろりと赤き木…
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柴田多鶴子『句集 花種』(文學の森)より
2023.10.09
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平成26
第3句集
「鳰の子」主宰
箸紙にまだ箸持てぬ赤子の名
午後からはさらに霞みて草千里
水の香をまとひつめたき螢の火
蝉の木となりて鳥たち寄りつかず
手花火の輪に小さき膝大き膝
向日葵の笑顔壊して種を採る
花野と…
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沢木欣一『句集 赤富士』(牧羊社)より
2023.10.04
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昭和49
第5句集
「風」主宰
枯枝を伐り金星をあらはにす
滝ひびく山葵の花の咲き初め
蜻蛉を翅ごと呑めり燕の子
蛸焼きの紅に日のさす初詣
塔あれば塔の高さの紅椿
湖渡る決意の蝶のはばたけり
白き蝶しろがねの湖わたらむ…
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平畑静塔『句集 魚歌』(角川書店)より
2023.09.26
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昭和56
第5句集
蝶を追ふ多佳子大姉の先んじて
いもとよりいとこ美し夏まつり
座る余地まだ涅槃図の中にあり
村ぐるみ花野となりぬ過疎に耐へ
様付けて金勢拝む差日傘
雲の上より降拝の紅一点
天泣か一白鳥の昇天か
年の始…
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三橋敏雄『句集 しだらでん』(沖積社)より
2023.09.25
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平成9
第11句集
長き長き戦中戦後大櫻
太陽はいつもまんまる秋暑し
たましひは先を行くなり秋の空
二つ目の原爆の日も過ぎにけり
生きて知るソ連崩壊蟲しぐれ
朝寒や剃刀當つるひげの杭
昨日より今日遥かなる殘花かな
敗戦…
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神野紗希『句集 光まみれの蜂』(角川書店)より
2023.09.18
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2012年
第1句集
水澄むや宇宙の底にいる私
目を閉じてまつげの冷たさに気づく
大木とみれば抱きつく夏帽子
帽子掛け虫籠吊ってありにけり
雷や波打際の砂の城
ホットココア星を見ている人へ運ぶ
これほどの田に白鷺の一…