《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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山口速『句集 道しるべ』(富士見書房)より
2023.08.06
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平成11
「狩」同人
第3句集
朴落葉土になじめぬままの反り
飾り海老龍に劣らぬ髭を張り
たかんなに近づく鍬を後ろ手に
遠く来て茅の輪一歩でくぐり抜け
神殿に脱ぎ捨てられて蛇の衣
生きるとは残さるること鳥雲に
あかがね…
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石動敬子『句集 逢隅』(多島海社)より
2023.07.31
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2014年
「幡」会員
第2句集
御写真の通りの御方椿餅
天高き杜の都のクラス会
啓蟄の採寸ぐつと腕伸ばす
ふらここのそばにやつぱり来てしまふ
オクターブ低き声あり卒業歌
短日の瞬間接着剤に蓋
羽ばたくを押さへ鶯菜を茹…
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吉田哲二『句集 髪刈る椅子』(ふらんす堂)より
2023.07.29
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2023年
「阿吽」同人
第一句集
こはごはとよその子叱る良寛忌
ざりがにの動くまで子の動かざる
粧へる山粧へる老姉妹
苗札や書き損じしを裏側に
クローバー摘みつつ内緒話すこし
青芝に髪刈る椅子を据ゑにけり
抱き飽きて…
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佐藤博美『句集 想』(ふらんす堂)より
2023.07.28
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2014年
「狩」同人
第4句集
春愁や白線にある内と外
くるぶしと波の遊べる端午かな
振りだすも上がるもにはか夏祓
降りだして空の落ち着く雨水かな
すぐ翳るそれさへ京の冬らしく
あのころの時はゆつくり日向水
手花火の…
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山口誓子『句集 方位』(春秋社)より
2023.07.22
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昭和42
「天狼」主宰 第12句集 田植衆憩ひて飲みも食ひもせず
胸を背に寄せて雪嶺重なりあふ
架橋行く眼にもとまらぬ雪解川
農夫独り何に手を拍つ春の晝
秋晴を禿山たるに終始する
一枚を念ずるごとく紙梳けり
吾が真似て…
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鈴木しづ子『夏みかん酸つぱしいまさら純潔など』(河出書房新社)より
2023.07.19
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2009年
第1句集「春雷」第2句集「指環」合本
「樹海」会員
寒ともしわざに馴れたるひとの指
寒玉子うく徹宵の油の掌
雪の宿貨車の連結みてゐたり
凩やはやめに入れる孤りの燈
冬雨やうらなふことを好むさが
春雷はあめ…
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永島靖子『句集 眞晝』(書肆季節社)より
2023.07.16
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1982年。
「鷹」編集長。第一句集。
さびしさも透きとほりけり若楓
いちまいの掌が浮いてゐる秋の草
一枚の絹の彼方の雨の鹿
十薬の花のかたちのやまひかな
せせらぎのふたみちなれば蝶に蹤く
橋のたもとに薊一本友の夫
…
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森川麗子『句集 梨冠』(琴座俳句界)より
2023.07.13
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平成6。
「琴座」同人。第4句集。
白桃を暗がりに置く病かな
円周を痛く思えり黒揚羽
朝顔の朝の終るを摘まみ捨つ
昼寝覚め目薬をさす眼がありぬ
秋風の瓦礫の下のがれきかな
晩春のふところふかく死にしかな
滝涸れて滝の…
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半田順子『句集 再見』(角川書店)より
2023.07.09
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平成20。
「馬酔木」会員。 第一句集。
うなじ吹く茅花ながしや子の忌来る
夜学子の眠りに肩を貸す電車
雁渡し人みな羽織るものを持ち
幼らのサドル上げるや春隣
喜怒淡くなりゆく齢龍の玉
息白き子の言い訳を信じをり
亡き…
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宮谷昌代『句集 茶の花』(本阿弥書店)より
2023.07.07
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2015年。
「天塚」主宰。第2句集。
初旅はいつも古里母在はす
若布刈舟波の機嫌を波に問ひ
呼び止めるやうにほうたる肩にきし
ほたる村土橋・石橋・板の橋
軽く舞ひ重く歩みて月見能
軽々と武蔵を担ぐ菊師かな
福音のご…