《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
-
金久美智子『句集 くれなゐ深き』(角川書店)より
2022.11.15
-
2012年。
「氷室」主宰。第6句集。
つま先を落葉に沈め逢ひに行く
雪女詠みしは疾うにみまかりぬ
蝋梅の咲き満つ土間や窯始
独楽の紐垂らして兄に従へり
御神渡りまだと言ひをる寒さかな
赤松の向う黄砂の弓ヶ浜
気忙し…
-
浅井陽子『句集 紅鏡』(角川書店)より
2022.11.06
-
平成24。
「運河」「晨」「鳳」同人。第2句集。
清水の舞台の下の恋の猫
退職の一日目なる籐寝椅子
大和より河内へ月の峠かな
石庭の砂のさざなみ十三夜
鯖街道一の難所に鹿の声
子規没後百年の年惜しむかな
蜷の道途切れ…
-
杉江佳子『句集 春の露』(ふらんす堂)より
2022.10.29
-
1990年。
「泉」同人。第1句集。
門松の笹のさやさや明けにけり
昼顔に線路大きく曲りけり
少年の扇がざせば鉾動き
束の間や鉾解きてまた人流れ
しみじみとよき正月と夫の言ふ
初夢の佛に會ひし蟹満寺
寒卵けふが始まる…
-
村上光代『句集 夏空』(東京四季出版)より
2022.10.25
-
2022年。
「玉梓」同人。第1句集。
天井にうねる双龍淑気満つ
撫牛の仔は親見上げ梅見上げ
竹の皮脱ぎ散らかして伸びゆけり
連山の消ゆる卯の花腐しかな
流されぬやうに流れてゐる花藻
聞え来る祭囃子に乗りて家事
山頂…
-
井上あや子『句集 紅梅』(ふらんす堂)より
2022.10.22
-
2008年。
「狩」「天衣」同人。第1句集。
塾生の一塊となり初詣
案の定雨に崩れし牡丹かな
片蔭に貼りつくやうに人を待つ
炉話の芝居がかつてきたるかな
石庭の石の影のみある寒さ
雪吊りの八方へ気を弛めざる
嫁ぐ子と…
-
小林たけし『句集 鹿』(狩俳句会)より
2022.10.15
-
平成8。
「狩」「朱雀」同人。
白鳥を守るごとくに鴨の陣
白鳥を遠く見てをり襟立てて
海よりの風にもどされ揚羽蝶
飴玉で頬ふくらませ祭の子
白蓮の花ふくらます風の出て
震度一ありし夜の明け地虫出づ
蝮注意落石注意山開…
-
l小室善弘編『正岡子規句集 鶏頭』(ふらんす堂)より
2022.10.10
-
1998年。
五月雨やけふも上野を見てくらす
絶えず人いこふ夏野の石一つ
我が袖に来てはね返る螽かな
六月を奇麗な風の吹くことよ
行く我にとゞまる汝に秋二つ
漱石が来て虚子が来て大三十日
夏嵐机上の白紙飛び尽す
いく…
-
武市明子『句集 凧戦さ』(ふらんす堂)より
2022.10.09
-
2000年。
「泉」同人。第2句集。
死にかけてをるといふ田を起しけり
形代に大中小のなかりけり
生れたる仔馬勾玉坐りして
いま渡りくる白鳥のけむりいろ
苗札のまだ雨知らぬひとならび
風鈴にためらひがちに寄る風ぞ
担…
-
北村紅恥庵『句集 恋猫』(東京四季出版)より
2022.09.29
-
平成20。
「きりん」会員。
鮟鱇鍋眼鏡かけたりはづしたり
草を刈る背中合せとなりにけり
白菜を手掴みにして鍋奉行
朝立ちは律儀な儀式葱坊主
さくらんぼ妻にもつまむもののあり
湯豆腐やちよんの間のある隠れ宿
熱燗やま…
-
藤本安騎生『句集 高見山』(角川書店)より
2022.09.26
-
2009年。
「運河」同人。「晨」同人。第4句集。
雷と名を持つ滝の飛沫かな
ちよろくさきことは言ふまじ瀧氷柱
大旦昨日の山河なるがよし
向きを替へこゑを変へては囀れり
雑念の絶ゆることなし草を刈る
岩頭に立ち輝け…