《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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佐藤博美『句集 想』(ふらんす堂)より
2023.07.28
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2014年
「狩」同人
第4句集
春愁や白線にある内と外
くるぶしと波の遊べる端午かな
振りだすも上がるもにはか夏祓
降りだして空の落ち着く雨水かな
すぐ翳るそれさへ京の冬らしく
あのころの時はゆつくり日向水
手花火の…
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山口誓子『句集 方位』(春秋社)より
2023.07.22
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昭和42
「天狼」主宰 第12句集 田植衆憩ひて飲みも食ひもせず
胸を背に寄せて雪嶺重なりあふ
架橋行く眼にもとまらぬ雪解川
農夫独り何に手を拍つ春の晝
秋晴を禿山たるに終始する
一枚を念ずるごとく紙梳けり
吾が真似て…
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鈴木しづ子『夏みかん酸つぱしいまさら純潔など』(河出書房新社)より
2023.07.19
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2009年
第1句集「春雷」第2句集「指環」合本
「樹海」会員
寒ともしわざに馴れたるひとの指
寒玉子うく徹宵の油の掌
雪の宿貨車の連結みてゐたり
凩やはやめに入れる孤りの燈
冬雨やうらなふことを好むさが
春雷はあめ…
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永島靖子『句集 眞晝』(書肆季節社)より
2023.07.16
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1982年。
「鷹」編集長。第一句集。
さびしさも透きとほりけり若楓
いちまいの掌が浮いてゐる秋の草
一枚の絹の彼方の雨の鹿
十薬の花のかたちのやまひかな
せせらぎのふたみちなれば蝶に蹤く
橋のたもとに薊一本友の夫
…
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森川麗子『句集 梨冠』(琴座俳句界)より
2023.07.13
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平成6。
「琴座」同人。第4句集。
白桃を暗がりに置く病かな
円周を痛く思えり黒揚羽
朝顔の朝の終るを摘まみ捨つ
昼寝覚め目薬をさす眼がありぬ
秋風の瓦礫の下のがれきかな
晩春のふところふかく死にしかな
滝涸れて滝の…
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半田順子『句集 再見』(角川書店)より
2023.07.09
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平成20。
「馬酔木」会員。 第一句集。
うなじ吹く茅花ながしや子の忌来る
夜学子の眠りに肩を貸す電車
雁渡し人みな羽織るものを持ち
幼らのサドル上げるや春隣
喜怒淡くなりゆく齢龍の玉
息白き子の言い訳を信じをり
亡き…
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宮谷昌代『句集 茶の花』(本阿弥書店)より
2023.07.07
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2015年。
「天塚」主宰。第2句集。
初旅はいつも古里母在はす
若布刈舟波の機嫌を波に問ひ
呼び止めるやうにほうたる肩にきし
ほたる村土橋・石橋・板の橋
軽く舞ひ重く歩みて月見能
軽々と武蔵を担ぐ菊師かな
福音のご…
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松井努『句集 手拭の糸』(ふらんす堂)より
2023.07.06
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2023年。
「橘」同人。第1句集。
クリスマス電車一両握り寝る
花杏その名の吾子と樹を見上げ
福耳の母と座りて虫を聞く
胸板の水鉄砲の的となる
立冬や和菓子の包み折り鶴に
逆立ちをひよいと妻決め春立ちぬ
鉛筆に森の…
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永峰久比古『句集 柏』(安楽城出版)より
2023.07.02
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平成23。
「馬酔木」同人。第1句集。
迎火を焚き続けきし母に焚く
枯るるもの枯れて磧の石叩
大寒の草の骨踏む別れかな
出願も受験も雪となりにけり
鳰潜き釣瓶落しの湖緊る
面影の母は老いざる手鞠唄
霧濡れの少女紙梳く…
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舘岡沙緻『句集 夏の雲』(角川書店)より
2023.06.25
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2011年。
「花暦」主宰。第5句集。
初句座の一つ足したる机かな
CT検査終へ汗のもの着用す
みづうみの風の涼しや柱背に
瞽女唄を一途に藍の秋袷
幼ナ手のゴム風船の飛びたがり
末枯るる学問の灯はひとりの灯
塵捨てに…