《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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豊田都峰『句集 木の唄』(東京四季出版)より
2023.12.18
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平成14
「京鹿子」主宰
第4句集
雲とまた喋りはじめて四月の木
あまりにも度忘れ黄葉をのけてみる
点滴に春の雲溶けおりてくる
人きらふこと花冷にかこつけて
穴まどひそらのあをさにふと曳かれ
ひとすみに余花あるそんな…
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直江裕子『句集 櫻時計』(ふらんす堂)より
2023.12.14
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1998年
「京鹿子」同人
第1句集
柚子に刃を入れてわたしは浮かんでいる
榠樝投げ榠樝とる子ら空うてり
寒林をまっすぐ抜ける角度あり
コスモスを泳ぎふるさと遠すぎる
いちにちは雪の白さのままでいる
鉄線花別れ話を図…
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山田和『句集 夏の蝶』(文學の森)より
2023.12.11
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平成31
「京鹿子」同人
第1句集
受験子の入りて校門静もれり
花明り小橋それぞれ名を持てる
月見草寄せ来る波のうら翳る
筆太の城主の手紙紙魚走る
夫の捥ぐ梅エプロンに受けにけり
あぢさゐや捨てると決めしピアノ弾く
天…
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横田昌子『句集 簡素』(角川書店)より
2023.12.07
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平成23
「笹」同人
第一句集
春光や刷り上りたる夫の著書
夫帰り牡蠣グラタンの煮え滾る
なでしこの切れこみ深くなびきけり
観覧車てつぺんに来て春の海
茜空残りてをりぬ夏料理
初ものの林檎これより信濃路へ
みちのくのひ…
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茨木和生『句集 椣原(しではら)』(文學の森)より
2023.12.03
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平成19
「運河」主宰
第9句集
懸想文売の狐目忘られず
悪たれの戻りてゐたる春祭
ぼうたんの散りざま淫らとも違ふ
一歩踏み出して動かず山椒魚
板の間は晒屋根なり岩魚焼く
蝮捕前歯一本出し笑ふ
夏帯の後ろ姿も見よといふ
…
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明石晃一『句集 鎌倉」(文學の森)より
2023.11.28
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平成24
「白桃」同人
第1句集
散らさずに登るすべなし萩の磴
落椿その上にまた落椿
淡きとも濃きともうつし世の桜
雛飾る部屋あたためてをりしかな
父の日や飴玉に口なぐさめて
血の薄くなりたるおもひ曼珠沙華
正座せり飾…
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遠藤正恵『句集 野遊び』(本阿弥書店)より
2023.11.19
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2012年
「家」会員 「濃美」同人
第一句集
麦の芽や鳥のかたちの土の笛
引鴨のはばたき沼を明るうす
籐椅子に覚めて読みつぐ航海記
象嵌の太刀一つ置く夏館
廻廊の水かげろふや光悦忌
矢車のまはりつづけて村さびし
植ゑら…
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松山好江『句集 遺跡野』(文學の森)より
2023.11.12
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平成30
「宇宙」同人
第一句集
女生徒の胸の弾けし更衣
朴落葉ごつこの皿に適ひたる
雷神のエールに応ふエースかな
夫婦滝落ちて烈しく一になる
機内にてストレッチせるアロハシャツ
一族の引きたるあとの端居かな
堆きもの…
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山代あづさ『句集 桜襲』(狩俳句会)より
2023.11.05
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平成10
「狩」同人
第2句集
犬撫でて落第の子の後向き
人魂の巧みな動き夏芝居
出まかせの名で呼んでやる枯野犬
肩凝らぬだけが取り柄の古ジャケツ
寒紅や嘘とまことの使ひ分け
雪女泣くに男の胸いらぬ
葬送ののち梅林へ歩…
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国吉玲子『句集 秋燕』(ふらんす堂)より
2023.10.30
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2010年。
第一句集
「泉」会員
蓮根掘り雲を残して帰りけり
白萩に触れたる傘を畳みけり
残寒の干潟ぶつぶつしてゐたり
駆け抜ける毛虫の落ちて来ぬうちに
瓢箪の括れはじめし雫かな
潦跳んできのこの国に入る
山羊の腹み…