《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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清水余人『句集 香日向』(飯塚書店)より
2024.09.08
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令和2
「田」同人
第1句集
早稲晩稲色を分かちて稲筵
秋風や路地を繋ぎし醤蔵
新宿に挟まつてゐる寒の月
革コート着て何人も寄せつけず
寒晴やぺたりと月が貼つてある
炬燵から出てきて物を売りにけり
初日いま海離れむと歪…
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石田雨月『句集 諸葛菜』(俳句アトラス)より
2024.09.03
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令和3
「ひまわり」幹部同人
第1句集
子の熱の下がればおとす秋ともし
怪獣のおもちゃはべらせ大昼寝
いとおしむおのが命を去年今年
子と枕ならべて虫の夜なりけり
刈り残す塔のほとりの花すすき
柔道着無口にたたみ夏終る
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辰巳あした『句集 卑弥呼が袖』(ふらんす堂)より
2024.08.29
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2000年
「雨月」同人
第1句集
目にしかと合格の文字風光る
叫喚の声なき声の菊人形
水中花少女に絵空事の恋
枯きざす蟷螂にある翡翠の眼
姑となるためらひのあり初鏡
蓑虫の窺ふ人の世や如何に
百万石城址や落花舞ひづめ…
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滝口明男『句集 小事』(花神社)より
2024.08.22
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1999年
「狩」同人
第1句集
水着着てエバの隠せしもの隠す
枯れてなほ向日葵太き茎で立つ
一点となりたる凧の糸を持つ
懐手凶のみくじを握りしめ
角出して進路定まるかたつむり
夏痩せの母空箱を捨て惜しむ
木枯の大手搦…
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高橋隆治『戦時下俳句の証言』(新日本出版社)より
2024.08.21
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1992年
つばくらめ死につくまでを護りてゆけ 作者不詳
秋日没り糞尿流し出す舷側 吉田忠一
憎しみもなく首を打つ日寒く 宮本朱明
いま兵が死にゆく暖炉すでに消え 小寺歓二
馬こほる真夜は野犬の眼が光る 岡本圭岳
戦友を焼…
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石鍋静穂『句集 散蓮華』(春燈社)より
2024.08.13
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昭和55
「鶴」「春燈」会員
竹林のこぼれ日の恋雀かな
菊膾老いては味のある顔に
頬杖仏蛙におん目借られけり
なんの実か爆ぜて焚火を驚かす
かなづかひ毛糸編む娘にまた質す
松過ぎの凧へろへろとあがりけり
山栗を拾ひを…
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土方秋湖『句集 四神』(東京美術)より
2024.07.30
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昭和56
「馬酔木」同人
第2句集
ほたる見の車の中を螢とぶ
晴るるらし声つつぬけの青葉木菟
猪鍋や酔のまはるが目に見えて
首を振る百合の夜風がとどきをり
盆ちかき仮寝の夢に母のくる
使はれてそりくりかへる蝿叩
駆けゆ…
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柳堀悦子『句集 鼓動』(邑書林)より
2024.07.23
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2023年
「晨」同人 「汀」会員 里人
第1句集
探梅の朽ちし祠にゆきあたる
決めかねて仰ぎてゐたる夕焼かな
夕焼を拡げゆきけり豆腐売
思ひ出に身をしづめゐる柚子湯かな
大空のがらんと碧し山眠る
母を待つ窓にたつぷり春…
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山咲臥竜『句集 原型』(ふらんす堂)より
2024.07.18
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2013年
第1句集
水ぬるむ頃やをみなの蜜もまた
高千穂や記紀このかたの山霞
本日はお日柄も良く花粉症
耳もとに囁く邪鬼や夕桜
佐保姫やうすくれなゐの貝の肉
しなやかにかひな二本や更衣
さみだれや厩舎にこもる馬の息
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中村孝一『句集 西国』(ふらんす堂)より
2024.07.14
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2001年
「氷海」「狩」同人
第1句集
木片のごと舟かわく鵙日和
耶蘇の島麦は海際より熟れて
十字架の主に見おろされ土筆つむ
盆の僧海見てゐしが歩き出す
横たへて舟より長き和布刈竿
白塗りのまま背にねむる祭稚児
まだ…