《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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加藤楸邨『句集 怒涛』(花神社)より
2023.10.23
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昭和61
「寒雷」主宰
第十句集
たんぽぽのぽぽと絮毛のたちにけり
斧あげて風におどろくいぼむしり
咳をしてをれば猫きて嚏せり
躓きて雁の別れのもう見えぬ
残雪に手を拭ひけり与謝峠
月さして青柚子は葉とわかれけり
芭蕉…
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原雅子『句集 束の間』(角川書店)より
2023.10.16
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2011年
第2句集
「梟」同人 「扉」句会代表
海晴れて鯖に重みの増すころぞ
ゴムまりのぺこんと春の土の上
剪定に日差しちくちくしてきたる
長靴のぶかぶかと来る桃の花
Gパンのごはごは乾き登山宿
秋風やでろりと赤き木…
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柴田多鶴子『句集 花種』(文學の森)より
2023.10.09
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平成26
第3句集
「鳰の子」主宰
箸紙にまだ箸持てぬ赤子の名
午後からはさらに霞みて草千里
水の香をまとひつめたき螢の火
蝉の木となりて鳥たち寄りつかず
手花火の輪に小さき膝大き膝
向日葵の笑顔壊して種を採る
花野と…
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沢木欣一『句集 赤富士』(牧羊社)より
2023.10.04
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昭和49
第5句集
「風」主宰
枯枝を伐り金星をあらはにす
滝ひびく山葵の花の咲き初め
蜻蛉を翅ごと呑めり燕の子
蛸焼きの紅に日のさす初詣
塔あれば塔の高さの紅椿
湖渡る決意の蝶のはばたけり
白き蝶しろがねの湖わたらむ…
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平畑静塔『句集 魚歌』(角川書店)より
2023.09.26
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昭和56
第5句集
蝶を追ふ多佳子大姉の先んじて
いもとよりいとこ美し夏まつり
座る余地まだ涅槃図の中にあり
村ぐるみ花野となりぬ過疎に耐へ
様付けて金勢拝む差日傘
雲の上より降拝の紅一点
天泣か一白鳥の昇天か
年の始…
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三橋敏雄『句集 しだらでん』(沖積社)より
2023.09.25
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平成9
第11句集
長き長き戦中戦後大櫻
太陽はいつもまんまる秋暑し
たましひは先を行くなり秋の空
二つ目の原爆の日も過ぎにけり
生きて知るソ連崩壊蟲しぐれ
朝寒や剃刀當つるひげの杭
昨日より今日遥かなる殘花かな
敗戦…
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神野紗希『句集 光まみれの蜂』(角川書店)より
2023.09.18
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2012年
第1句集
水澄むや宇宙の底にいる私
目を閉じてまつげの冷たさに気づく
大木とみれば抱きつく夏帽子
帽子掛け虫籠吊ってありにけり
雷や波打際の砂の城
ホットココア星を見ている人へ運ぶ
これほどの田に白鷺の一…
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橋本美代子『句集 七星』(本阿弥書店)より
2023.09.17
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1998年
「天狼」同人 「七曜」主宰
第3句集
胸の手が鉛の重さ昼寝覚め
遊船の波うけ島の子が泳ぐ
白毫寺磴のつづきにうろこ雲
騙されてゐよう日の中雪が降る
残雪を伽藍の蔭にのみ許す
悲しき眼鵜匠亡き鵜の緑眼は
葛あら…
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こしのゆみこ『句集 コイツァンの猫』(ふらんす堂)より
2023.09.13
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2009年
「海程」同人 「豆の木」代表
第1句集
藤棚の下に自転車ごと入る
よびすての少年と行く夏岬
背番号のよじれておりぬ昼寝かな
昼寝する父に睫毛のありにけり
ころりころりこどもでてくる夏布団
青林檎放物線の途中…
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橋場千舟『句集 視線」(ふらんす堂)より
2023.09.11
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2008年
「半夜」同人 「船団の会」会員
第3句集
名月をオペラグラスで眺めけり
ものの芽がまだ何色といふでなく
ひとつ傘さす冷ゆること言ひ合うて
河豚雑炊ふぐの口して吹いてをり
まばたきをして白梅に近づきぬ
磯巾着…