《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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水野晴嵐『句集 大津絵』(ふらんす堂)より
2024.07.09
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2001年
「狩」同人
第1句集
枯菊を焚けば菊の香よみがへり
歓声のあとの嘆声揚花火
来客に空より応へ松手入れ
掃初めの塵にまぎれてはづれくじ
川床料理眺めてしばし箸つけず
前足をきつちり揃へ狩の犬
石と貝机上になら…
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桑島啓司『句集 滝山』(本阿弥書店)より
2024.07.01
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1997年
「狩」同人
第2句集
岩のごときに水はじき滝行者
作業服ばかりつくろひ針納め
水行を終へたるわれに蚊の寄らず
片蔭に寝かせて長き寺梯子
風邪のほか病を知らず風邪に臥す
緑蔭に力を抜いてブルドーザー
鉄工の胸…
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塚谷誠『句集 五弦琵琶』(角川書店)より
2024.06.25
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平成23
「築港」同人
第1句集
いくたびも読む大吉の初みくじ
和洋装ごちや混ぜになり盆踊
職退いて馴れぬ手付きで草を引く
祇園囃子どこか悲しき調べにて
母がゐて祖母がまたゐて運動会
戦後史を律儀に生きてちやんちやん…
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真木はるえ『句集 神田』(七月堂)より
2024.06.21
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1991年
「狩」同人
第1句集
宵山や灯せば匂ふ青畳
婚の荷につかまりてゆく草の絮
ものの影みな立ちあがり月の道
寒柝の行く手に闇は道をあけ
しぐるるや石それぞれの目鼻立
連翹の黄の奔放に日をはじく
子の誘いことはり…
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有山八洲彦『句集 朱雀』(狩俳句会)より
2024.06.12
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平成7
「狩」同人・「朱雀」主宰
第2句集
駅裏の残雪といふ頑固もの
天井に闇押し上げて炉辺話
初夢を見しとも見ざりしとも思ふ
裾つまみ上げ春泥を神父来る
せがまれてまた抱き上げて青き踏む
伊予柑の尻に敷かれて置き手…
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杉山伊都子『句集 転調』(狩俳句会)より
2024.06.06
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昭和63
「狩」同人
第1句集
紫陽花のけふの色見てけふも臥す
咳き込みてイエスの言葉きき洩らす
曝書してもう弾くことのなき楽譜
滝行を終へふんだんに被る水
手鞠唄より逃げ出してはずむ毬
米を磨ぐ指の先まで花疲れ
打つ…
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柿本多映『花石』(深夜叢書社)より
2024.05.31
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1995年
「草苑」「白燕」「犀」同人
第3句集
門前に土筆が生えて暮れかねる
のどもとの眩しさに春過ぎゆけり
蟇みぞおちに何滞る
わが正体夕顔の凋む頃には
風景の何処からも雪降り出せり
一本の柱を倒す祭かな
春風とい…
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関登代子『句集 糸でんわ』(東京四季出版)より
2024.05.27
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平成12
「峰」同人
第2句集
籠吊るす腰の豊かよのり掻女
夢に負ふ夫の重さや明易し
夫盗む天の盗人おぼろ月
一周忌かなしみ色の足袋を脱ぐ
紅葉散るしじま散らざるしじまかな
啓蟄やテレホンカード穴二つ
籐椅子に夫の残せ…
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平栗瑞枝『句集 花蘇芳』(ウエップ)より
2024.05.20
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2010年
「渚の會」会員
第1句集
ふるさとの匂ひと似たる夏野かな
汗の手を握る集中治療室
四五日を手抜きしてをり夜の秋
夜廻りをせむとて酒の席を立つ
きつと来てくれる寒紅ひいてみる
相続のひとつは蝮多き森
軍艦のや…
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大島幸男『句集 雪解』(青磁社)より
2024.05.11
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2024年
「氷室」同人会長
第1句集
悴みし妻の釦を嵌めてやる
一抜けて二抜けて釣瓶落しかな
羚羊の一点にして動かざる
旅鞄曳く音のあり明易し
文豪をまねて頬杖夏座敷
天高し大河と言ひて筋ほどに
やみくもに線引きし書…